笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ42)

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「近くに感じたいって、意味分かってるか？」
『え？』

「先に進みたいって言ったら分かる？」
『え。』

ジッとAを見て、返事を待った。

すごい考えてる。
俺の服を掴んだまま、目だけを静かにキョロキョロさせて。

次第に真っ赤になっていくA。

あぁ、もう見たくない。
･･････襲いたくなるような反応やめて。

【自制心には、自信があったんだけどなぁ･･･】

ため息をついて天井を仰ぐ。

【でも･･･】

「A。Aの前世の記憶の中ではさ、俺はお兄さんなのかも知れないし、IDOLiSH7にとって、良いお兄さんでいたいと思うよ。事務員だけじゃなくてね？」

分かる？と言ってAを見ると、俺を見てコクンと頷くA。

「でも、Aとは10年来の付き合いだし、俺を良いお兄さんだと思ってる時はないと思うんだ。」

『あー･･･』
「え？あるの？」

気まずそうに笑って、Aが言う。

『初めはお兄さん的だと思ってたし、好きになるまでは、口の悪いお兄さんとか思ってた･･･』

口の悪いお兄さん･･･

「･･･はは、そうか。そうかも。」

思わず笑った。

千やAの前だと言葉使いが変わる自覚はある。
面倒見てきた手のかかる千と、千の事になる時だけ俺に助けを求めてたA。
楽しかったあの時が、俺にとって思い出に変わっても、宝物ではあるから。

「でもさ、お兄さんより、Aの前では、ただの1人の男でいたいんだよ。」

Aはジッと俺の言葉を聞いてくれた。

「だから、そんなにスキを見せられて不用心に誘われると、ちょっと困るかな。･･････ああ、いや、そりゃ先に進みたくはあるんだけど、ゆっくりでも良いよ。俺だけじゃなくて、Aのペースもあるから、焦りたくはないんだ。」

【Aにとっちゃ、さっきは焦ってる風に感じたかもしれないけど。】

Aがソッと俺の服を離す。

俯いてしまったAを見て、ちゃんと伝わってるか不安になった。

背中に手を回して抱きしめる。

「長く付き合っていきたいからこそ、無理をしてほしくないし、無理をさせてるって思いたくない。」

『万は･･･無理してないの？』

「無理じゃないよ。」

体を離して、唇に軽くキスをした。

「これに慣れてくれただけで俺は十分。」

『あ、いや。慣れたわけでは･･･』

赤くなりながら否定するA。

「じゃあ慣れて。」

『ど、努力します･･･』

俺は笑って、頷いた。