笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ38)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:58,964 hit

20　～万side～ページ38

でなきゃ千とAと俺のRe:vale時代、女の子からの嫌がらせの数々を、乗り越えられる訳がない。

千や俺が、目や手の届く範囲で守ったけど、知らない部分もあるはずだから。

「難しいと思うなら、俺が一緒に考えるよ。乗り越えよう。」

戸惑った様な表情のAに、頭をなでながら言った。

【ああ･･･この言葉を俺が言う日が来るなんて思わなかった。】

Aには、自分の幸せを、未来に縛られない自由な生活や発想を、他の人に何があっても乗り越えられると信じる気持ちを持って欲しいと思っていた。

初めて前世の記憶を話してくれてから、自分が落ち着いた頃に思った。

“未来を変えるのが怖い。乗り越えられるはずのものが乗り越えられなかったり、変えてしまう事で、それ以上の最悪の未来が来るかもしれないと思うと怖い。”

もっともだと思う。
だけど同時に、俺や他の人たちは未来を知らないから、何があっても乗り越えようと踏ん張るしかない。
前に進むために。

Aは、自分だけのことなら出来るのに、記憶の中の登場人物だと二の足を踏む。

ゲームで知ってる物事や人が、それだけ影響を与えたんだろうし、それ以外の解決法を知らないからなんだろうけど。

【この言葉は、Aと付き合ってるから言える事だ。】

一緒に乗り越えられたら、それは何て嬉しいことなんだろう。

違う意味で未来に不安になったり、未来が楽しみになったり。
今を思い切り楽しんだり。

Aの楽しみ方と不安になり方は、記憶があるからこその部分があるから。
純粋に今を生きて欲しいんだ。

俺と一緒に。

『万･･･』
「ん？」

『難しい･･･』

「･･･どの辺が？」

一緒にという部分を否定されたらショックだなと思いながら聞く。
Aは、チラッと俺を見上げてから視線を逸らす。

【うっ･･･】

駄目だ駄目だ。
今、ドキッとした。

そんな場合じゃないというのに。

『記憶に囚われないのが。これから色々あるのに、気にしないことなんて出来ないよ･･･』

「成長する気はあるんだよね？」

Aは頷く。

それで十分だ。

「うん。じゃあ記憶がなくなっていく過程で、もし急にたくさんの記憶がなくなったら教えて。その前後に何かあるのかも知れないし、ないのかも知れないけど。1週間に１回確認位なら出来る？」

『多分。』

「そのたびに怖いって思ったら教えて。何が怖いのか、それを解消する方法を、そのたびに一緒に考えよう。」

そう言って微笑んだ。