笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ35)

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Aは俺に5年前話した内容と同じ事を百くんに話している。

百くんはいい子だ。
普通ならおかしいと思うような内容のAの話を、真面目に聞いている。

【まぁ百くんも、初めて会話した時、Aが百くんを名前で呼んだから違和感を感じたろうしな。】

それを覚えてるかどうかだけど、Aの事が好きなんだから覚えてそうだ。
千は忘れてそうだけど。

全部洗って拭く。
分かるものだけしまった。

【お茶は･･･冷蔵庫のペットボトルのでいいか。】

コップを出してお茶を入れる。
冷蔵庫に、ももとりんごのスパークリングがあるから、百くんはこれなんだろうなと思った。

【百くんの常備してるんだ･･･】

よく来るのかな。
･･･俺はほとんど来ないのに。

あ、嫌だな。
こんな事で妬いて。

会えない時間が長かったから余計かもしれない。

･･･また会えなくなるのか。
ツアーが終わるまで。

Aは俺と同じ気持ちだろうか。
聞かないと分からない。

後で聞けたら聞こう。
同じ気持ちなら、頑張れる気がする。

「ねぇ、A。」
『は、はい！』

百くんがAを呼んだだけなのに、Aは背筋をピンと張って緊張している。
百くんが微笑んだ。

「そんなに緊張しなくても･･･」

『緊張するよ！私の謎、大公開スペシャルだよ！？』
「「ぶ･･･っ」」

思わず百くんと一緒に吹いた。

「テレビじゃないんだから･･･」

「いいね！オレ、そういう番組も好き！」

Aは真っ赤な顔をして口を尖らせた。

『何よもう！言いたいことあるなら言ってよ！』

「あー･･･もう、面白･･･じゃあ真面目な話。ユキに話すつもりはないの？同じRe:valeだから。」

Aが驚いたように目を見開いて固まっている。
代わりに俺が答えた。

「あいつは難しいんじゃないかな？」

「どうしてですか？バンさん。」

「良い方に転ぶならいいけど、悪い方に転ぶ可能性がある。」

『百･･･信じてくれるの？全部本当だって。』
「ええ！？嘘なの！？」

『いや、違うけど･･･。』

戸惑いが隠せない様子のAに、懐かしさを感じる。
俺がいなくなる前、話してくれた時。

「あはは。百くん、俺に話してくれた時も泣いちゃったんだよね、A。」
『うるさい。泣いてない。』

「あはは。こういう所かわいいですよね。」

「うん。かわいい。」

言ってAを見て微笑む。
Aは真っ赤な顔して俯いて、小さな声で、ありがとうと言った。

百くんと見合って笑った。