検索窓
今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:59,073 hit

15 〜万side〜 ページ33

こんな形で来るとは思ってなかったし、こんな形でAと会うと思ってなかった。

【どうも恋人らしい事とは縁遠いな・・・】

先が思いやられると思いながら、インターホンを押した。

「万理だけど・・・」

『万!今開ける!』

エントランスのドアが開いて入る。
管理人さんに笑顔で挨拶をして、すぐにAの部屋へ向かった。

【きっと心細いはず。】

傍についていてやりたい。
こういう時に俺がいるんだから。

【ああ、俺がいなくなる前に、Aが俺に教えてくれて良かった。】

まさか恋愛感情を持つなんて想像しなかった時だったけど。
でも今に繋がっている。

Aを守りたいという気持ちも変わらない。
それが、出来るのが俺で良かった。

Aの前世の記憶。
それを知るのが俺だけだったから、俺にしか守れないというのが少し優越感を感じていたけど。

きっと・・・

きっとその優越感も、今日で終わるんだろう。

でもいい。

Aが選んでくれたのは、百くんや千、九条くんや大和くんではなく、俺なのだから。

部屋のインターホンを押すと、開いてると言われて玄関を開けた。

『万・・・』

久しぶりのAの表情は、泣き顔だった。
鞄をソファの端に置いて、ジャケットをかける。

「何で泣いてるの?」

『だってー・・・百が怖いー・・・』

「・・・・・・お前、仮にも以前、好きだった人に・・・。」

少し呆れながら近寄って、ポンポンと頭を撫でた。

『そこは今は関係ないの!』

「まぁ、今までバレなかった事の方が凄いんじゃないか?話してみようか。」
『頭おかしい扱いだよ!』

「俺は信用しただろ。百くんも信用する。百くんも、Aの事が凄く好きだし大事なんだから。俺も証言出来るし、納得行くこと沢山あるよ。」

少なくとも、俺にその覚悟は出来た。
百くんなら悪いようにはならないだろう。

仕事中のAの近くにいるし、俺だけでは出来なかった事が、百くんなら出来る事がある。

「A、未来を変えるのは、そんなに怖いか?」

『え?』

「Aが変えたいと思えば、百くんも俺も、協力できるようになるよ?」

Aは戸惑ったように目を泳がせた。

【・・・まあ、今日はこの位にしておくか。】

もう一度、Aの頭を撫でてからキッチンへ行って手を洗う。

「作ったのか?他にも作ったほうがいいだろ。俺も手伝うよ。」

そう言うと、Aも笑顔でキッチンへ来た。

16 〜万side〜→←14 〜万side〜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
179人がお気に入り
設定タグ:アイナナ , Re:vale , 大神万理
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:miz | 作成日時:2019年7月28日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。