笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ31)

今日:8 hit、昨日:4 hit、合計:59,016 hit

13　（増えた秘密の共有者）　～万side～ページ31

パソコンのキーボードの音、電話応対の声。

「はあああ～･･･」

ふかーい溜め息。

「わぁ、大神さん、幸せ逃げてっちゃいますよ？」

向かいに座って、俺と同じようにキーボードを叩いている男性事務員が笑った。
思わず苦笑いをした。

「あはは･･･」

【今、逃げてる真っ只中だとは言えないな。】

Aにだいぶ会っていない。

都内に帰ってきてるのも知ってる。
ラビチャは遅くなっても返信は来るし、何してるんだろうと思えば、大体教えてくれる。
俺も大体なら教えられる。

ただ、内容は業務連絡のようだ。

当然敬語ではないんだけど、Aが忙しすぎるためか、寝落ちしたり、何してた～って言って、おやすみってなる事ばかり。
電話は1度もない。

【付き合いたての彼氏彼女じゃないな。】

休憩中にラビチャの履歴を見るも、やっぱり業務連絡というか、まるで別々に暮らしている熟年夫婦の会話じゃないのか、これ。

友達に格下げじゃないだけ良いか？
いや、ダメだよね？
いくら10年の付き合いだからといって、色々すっ飛ばして熟年夫婦は嫌だ。

【だからといってなあ･･･】

今Aは、ヤスの職業体験をしてるらしい。
リラクゼーションと発表されてから、技術を中心に勉強だと言ってた。
夜中まで。

邪魔は出来ない。

食べ終わって、またパソコンと向き合う。

イベントの広告の更新。
ファンクラブの誕生日の人への封書･･･ああ、これは頼んだから、出来たか確認。

電話をして、確認を終えると、社長が紡さんに封書を渡していた。

「じゃあ出席で出したから、調整よろしくね。大神くんも紡くんから話聞いといて。」

「え？はい。」

社長が出て行くと、紡さんに何のことか聞く。

「あけぼの開局記念パーティです。IDOLiSH7のみなさんが出席されるので、オフにしなくてはいけないんです。」

「ああ、MEZZO"ね。いつ？」

スケジュール帳を見ながら紡さんと話して、調整出来るようにする。

「TRIGGERさんもRe:valeさんも来るらしいですよ。お姉ちゃんは、ヤスさんかな？」

「へえ･･･」

【いいなあ･･･】

ヤスでもいいから声を聞きたい。
会いたい。

「大神さん、行きたいんですか？」
「えっ？」

キョトンとした顔の紡さん。

あれ？何でバレたんだろう？

「どうして？」

「え？さっき、いいなあ･･･って･･･」
「え！？」

声に出てた！？

うわー。
恥ずかしい。

「いやいや、大丈夫！俺、仕事だから。招待もされてないから気にしないで。」