12 〜万side〜 ページ30
「あれをしなきゃいけない、これはやっちゃいけない、これを変えたらどうなるんだろう。そういう恐怖もあっただろ?そういうのが一切なくて、目の前のことに一生懸命になれるって、幸せな事だと思うよ。」
そう言うも、Aは、分かるけど・・・と言葉を濁す。
「俺との事は、Aにも俺にも分からないから、これからが楽しみだな。」
そう言って笑うと、座敷についたAの手に、そっと自分の手を重ねた。
【これで顔が赤くなるんだもんな・・・】
慣れて欲しい。
でもかわいい。
・・・・・・癖になりそう・・・
「あーーー!!」
環くんの大声にビクッとして、咄嗟に手を離して、環くんの方を見た。
「そーちゃん!野菜勝手に入れんなよ!!」
「モツばかり食べて・・・野菜も食べないと体に悪いよ?」
ホッとしてAを見ると、Aも同じような反応をしていて、視線が合って笑いあった。
「何、2人で笑ってるの。」
千の問いに2人で答えた。
「いつもの光景だなと思って。」
『そうちゃん、お母さんみたいだなと思って。』
「お母さん・・・壮五くん、お母さんなの。へえ。じゃあお父さんは誰?」
『・・・・・・ヤマさん?』
「へえ、面白そう。」
千が楽しそうな顔をしている。
本当に昔とは変わったんだな、とか、良かったなという感情が素直に出てきた。
「うちのアイドルで遊ばないでくれよ。」
「遊んでない。可愛がってるよ。」
言いながら大和くんの隣に行く。
『ヤマさんの事、大好きだよね、千。』
「千に友達が増えて何よりだな。」
「友達じゃありません!!」
大和くんが嫌そうに言った言葉に、みんなで笑った。
【そういえば、しばらくツアーで会えないんだよな。】
帰り際に思い出す。
ツアー中に都内に戻る時があるはずだけど、IDOLiSH7も俺も仕事だからな。
Aを見るも皆といて、次いつ会えるか聞ける状況じゃない。
【いや、いいか。】
いつも会える時に会っているし。
時間が合わなくても、都内に戻ってる時に連絡すれば会えるだろう。
そう思っていた。
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作者名:miz | 作成日時:2019年7月28日 8時