笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ15)

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「お前、逃げようとしてるだろ。待って。･･･百くん。ちょっと俺、Aと話あるから、あとよろしくね？」
「はっ、はい！！喜んで！！」

【絶対言う事聞きそうなの選んだ！！】

何でそんなに必死なの！？
私の気持ち、分かったんでしょ！？
振るんでしょ！？

適当に流せばいいじゃん！！

千が助けようと、手を離して、と万に言ってくれたのに、万は百にスゴんでるし。
百、怯えてるし。

泣きそうな気持ちでエントランスに引っ張られ、言われるがまま鍵を開けた。

『えと･･･うち、来るの？』
「そこじゃないと話せないだろ？」

【やっぱり話する気なんだ･･･】

勢いで口が滑った。
どうやって誤魔化そう。
頭の中は、それでいっぱい。

エレベーターの中で、万が深呼吸してるのに気づいた。

「ごめん。こんな夜中に･･･」
『え？今更？』

本当に今更。
思わず呆れて、緊張がどこかへ行く。

万って時々、天然だよね。
本人は違うって言うけど。

玄関の鍵を開けて、どうぞと言うも、万は玄関から部屋へ入ろうとしない。

「いいよ、ここで話せるから。」

『折角だから入って。』

「こんな時間に、男を家に入れるなよ。」

『本当に今更。万が無理矢理来たんでしょ。』

「そうだけど。でもすぐ帰るから。」

言い出したら聞かないなあ･･･
譲る気もなさそう。

ため息を吐いて、諦めた。

『･･･頑固。』
「･･･どっちが。」

ソファからクッションを取ってきて置く。
立ち話もなんだから、これ位は許してもらおう。

【でも、どうしよう･･･】

これから振られるってのに、覚悟なんてない。
勢いで口から出た言葉は消せないけど･･･誤魔化せるかな。
うそつくの下手って言われたしな･･･どうしよう。

意を決して話を促すと、万が私をまっすぐ見た。

「A。さっきの、Aを通して紡さんを見てる様なのが嫌だってさ･･･自分を見て欲しいって事だよね？」

【やっぱり分かってる･･･】

どうしよう。
どうしよう。

怖い。
泣きそう。
恥ずかしい。

私が万にとって、妹みたいなのは変わらないのに。

万の両手が、私の肩に置かれた。
ビクッとして強ばる。
下を向いたまま、ギュッと目を閉じた。

「それって、俺にって、自惚れて良い？」

『･･････え？』

一瞬何を言われたか分からなくて、驚いて顔を上げた。
万の顔が、思ってたより近い。

万の言葉を理解するより早くに、顔が近い事への緊張が先走って、頬に熱が集まるのを感じた。