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万が不思議そうな顔で言う。
「俺、何か変なこと言っ・・・あ。」
万の手から服を奪って試着室のカーテンを閉める。
【自覚なし!?天然タラシ!!】
心臓がバクバクしてる。
万に再会してから、可愛いなんて言われた記憶はない。
昔は言われても平気だったし、むしろ何言ってんだ位の気持ちだったのに。
【ヤバい・・・万、こういうの慣れてるから、これ位で動揺してちゃ駄目なんだ。】
深呼吸して着替える。
着替え終わって鏡に映った私を見て、やっぱり私には似合わないと思った。
【つむちゃんのコーディネートみたい。】
凹むなあ。
紡は大好きだけど、こういう服を選ぶ万は、私の事を紡じゃないよと否定するけど、どう考えても紡が好みのタイプだと言われてるような気になった。
試着室を開けて意見を聞く。
似合うって言ってはくれるものの、嬉しくなかった。
【このコーディネートを見ると、私が対象じゃないって思い知らされるんだ・・・】
試着室でワンピースに着替える時に、そう思ったら泣きたくなった。
それでも最初に万が選んでくれたスカートは良いかもと思って買うことにした。
似合うのにって言われたけど。
『私は、つむちゃんじゃないから。』
「ん?そりゃそうだろ?」
そりゃそうだろ、じゃないよ?
全然分かってない。
いや、気持ちを分かられて振られんのもね。
思わずため息をついた。
【結局万、CDしか買ってないな・・・】
夕飯を食べながら今日を振り返る。
万が真剣に見てたのは本とCDと服。
CDは買ってたし、本はどれが欲しいのか分からない。
服・・・
Yシャツ買わなかったな、結局。
でも好みあるよね。
サイズも分からないな。
身長高いもんなぁ。
『万って身長高いよね。』
「ん?そう?Aは小さいよな。」
『そりゃ万からすればね。約20センチ差なんだよ?』
「三月くんと同じくらいだよな?」
『みっちゃんの方が少し高い。同じ服着れちゃうよ?』
「はは。三月くんが嫌がりそう。」
『万の服だとダボダボしちゃうよね、明らかに。』
これでサイズが分かればと思ったのに、無理だった。
「まあな。三月くんと運動とかしてるから筋肉もつくしな。」
【筋肉・・・】
そしたらサイズとか変わるか。
家に帰って調べると、オーダーメイドを見つけた。
【これなら万の好みに出来るし、いいかも。】
誕生日プレゼントをオーダーメイドのYシャツのチケットをあげた。
一緒に出かけた目的を当てられたけど、喜んでくれて良かった。
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作者名:miz | 作成日時:2019年7月28日 8時