笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ28)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:59,000 hit

10 ページ28

私も確かに、万の事を知りたい。
結構性格はお互いにわかってる気がするけど。

「もし嫌だったら言って。嫌がることはしたくないから。」

万の言葉に頷いて、２人で立った。

「そこの藤棚通って帰るか。」

手を繋いで歩く。
もう人は多くないところなのに。

少し嬉しさがこみあがってきて、キュッと万の手を握り返した。
万と目があって、微笑まれる。

嬉しい。
優しい笑顔、大好き。

そう思って笑顔を返す。

万の目が見開かれて、前を向かれる。
不思議に思ってると、そっと指が絡んだ。

【こ、恋人つなぎ･･･】

万の人差し指が私の手の甲を撫でる。
ドキドキして真っ赤になって、握り返すなんて出来なかった。
でもドキドキも少しだけ心地よくて、車に着いた時に、手を離さなきゃいけないのを少し残念だと思ってしまった。

「A、１つ聞きたいんだけど前世の記憶って、まだ全部ある？」
『え？』

車に入ってすぐに万に聞かれてドキッとした。

そういえば言ってない。

『あの、少しずつ薄れてる。部分的にない所もある。』
「え？･･･前世の夫婦生活の記憶は思い出したりする？」

え？
なんでそれ限定？

『それも薄れてるよ。考えないようにしてるし、そこまで思い出さないから大丈夫。』

「そうか･･･あるにはあるんだ･･･」

『何で？』

「ん？俺、前世の記憶を持って産まれた人とか調べてまとめてるのがあるから、今度見せるよ。」

万が言いながら、駐車場から車を出した。

『え？調べたの？てか、いるんだ！』

「うん。色々興味深いよ。どれがAに当てはまるかは分からないけどね。」

『へえ･･･ありがとう！』

わざわざ調べてくれた事にも、まとめたって事にも嬉しくて笑顔でお礼を言う。
万も運転しながらチラッと私を見て、前を向いて笑った。

・

「じゃあ、俺、後で行くから。気をつけて宿泊場所帰れよ？」

付き合ってるのは秘密だし、まだ明るいし、万はレンタカー返しに行くと言うので、駅で別れる事になった。

ちょっとだけ、寂しい、だなんて。

【いやいや、後で夕飯の時に会うし！】

万がブフッと笑う。

「俺も寂しいよ。」
『！！表情読まないでよ！！』

「あ、当たり？良かった。」

【ひっかけ！？本当にズルい！！】

万が微笑みながら、私の頭を撫でる。
空気で何となく察する。

「キスしてもいい？」

ドキドキする。
でも、大丈夫。
恥ずかしいけど、大丈夫。

そう言い聞かせて、万の服の裾をキュッと握って目を閉じた。