笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ26)

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頬が緩むのを隠すように、表情が変わらないように自制する。
チラッとAを見るも目を合わそうとしない。

休憩所についてお弁当を出して、ウェットティッシュを渡した。

なんでまだ目を合わそうとしない？
さっき笑顔で俺を見てくれたのに。

いつもAの事は分かるのに、付き合うと分からなくなるって、どうなんだ。

【あ･･･】

キスか。

1回したから大丈夫だと思ってた。
駄目なのか･･･早いのか？

聞くと、真っ赤な顔して恥ずかしいと言う。

【うわ、かわいい･･･】

ホッとしてお弁当を食べる。
恥ずかしいなら、これから慣れていけばいい。

嫌じゃなくて良かった。

食べながら千とのラビチャの話をした。
俺が思ったまま言うと、Aが俺といるのが嬉しいと言った。

照れ隠しなのか、俺から視線をそらしてお茶を飲むA。

「素直なA、可愛いな。」

Aがお茶を吹いた。
ティッシュやタオルを渡して、背中をさする。

【うーん、この反応･･･】

いちいち、かわいい。

百くんとかには言われてるだろうに。
いじめたくなる。

「A、かわいい･･･」

言うと真っ赤になって、俯かれる。

「･･･恥ずかしいの？言われ慣れてないだけ？」

どっちだろうと、ふと頭をよぎって聞くと、Aが俺を向いた。
目があって更に赤く染まった頬のAを見ると、嬉しくなった。

『ごちそうさま！美味しかった！』

言うだけ言って、Aが椅子から立つ。

「えっ！？ちょ、ちょっと待って！」

慌てて片付けながら、視線でAを追う。

【やりすぎた！！】

片づけ終わって荷物を持ちながら、Aが行った方を見ると、ちょうど曲がった所。

【そっちは確か秋の･･･】

タッと走って追いかけた。

「A。」

追いついて、背中を向けるAに声をかけると、Aの肩が揺れた。

触ると駄目か。
でも抱きしめたい。

･･･やめよう。
逃げられたくない。

「俺と付き合うの、嫌になった？」

フルフルと頭を横に振るAを見て、ホッと一息つく。

『慣れない。かわいいも、キスも、恥ずかしくて･･･』

Aは物凄く小さい声で言ったけど、俺の耳に届いた。

想像以上に恋愛の歩幅がゆっくりだ。
合わそうと思いながらも本当は、出来るだけ早めに前世の夫婦生活の上塗りをしたかったけど。
俺以外のそういう記憶があってほしくないから。

【これは･･･結構な我慢が必要だな･･･】

息を吐いて、Aの頭をポンと撫でた。