メンバーになった理由 3 ページ24
「・・・歌いたいのかな。聴きたいのかな。・・・あいつは選べないだろうな。」
『うん。5年前はね、即答で聴きたいだったよ。』
「・・・いつ?」
『歌の練習してた時。弾いた。』
千がフッと笑った。
「Aは強いよね。トラウマにならなかった。怖いのってホラーと虫以外にないの?物じゃない何か。」
ちょっとびっくり。
強いとか思ったことないけど。
『あるよ。』
「何?」
『Re:valeがなくなること。』
千が思い切り大きく目を開く。
『千は、そこまで執着してないでしょ?なくなったらまた始めればいい。・・・私には、そういう強さはない。今は私はRe:valeだけど、ファンの子は分からないから悲しむ。それは嫌だ。』
自分がファンだったからこそ分かる感情なんだろう。
前世の私がどうだったろうと、ファンだったという想いがあるのは、ベースとなる話が頭に残ってるからだ。
この記憶があって、ファンじゃなかったなんて考えられない。
「うん。そうね。モモもそうだろうね。」
『元ファンだからね。』
だからファンも大事に出来る。
その想いを知ってるから、余計に気持ちが分かる。
千が車を発進させた。
【そういえば・・・】
『そういえばさ、私を助っ人じゃなくてメンバーにした理由って聞いたことないと思うんだけど、何で?』
「え?言ったことなかった?」
『記憶にない。』
千は、そう?と不思議そうな顔をして言った。
「最初は音のアレンジが気に入った。・・・それだけじゃメンバーにとか思ってなかった。でもライブハウスのエレクトーン弾いてる姿見て、スポットライトなんてあたってないのに、あたってるように見えた。」
その時は上手だと思った。
今思えば、そうでもなかったけど、生き生きしてて目が離せなかった。
千はそう言って微笑む。
「自分の目と耳と脳が、Aがいる未来しか想像出来なくなった。・・・Re:valeとしてね。あんなに女性として好きになるなんて思わなかったけれど、僕は後悔してないよ。モモとAが両思いなのは知ってたけど、Aを想ってる時間は幸せだった。・・・・・・勿論、今もね。」
赤信号で止まる。
「運命だなんて言うつもりはないよ。でも、こうなる以外の未来は、僕にはいらなかったよ。」
胸が、詰まるような想いだ。
なんて答えたらいいか分からない。
「・・・・・・泣かせようとは思ってなかったんだけど。」
千が困ったように笑う。
『ありがとう。』
涙を拭いて、笑って答えた。
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ミズ ミズ(プロフ) - エレノアさん» if・・・九条天、公開しました!のんびり更新で申し訳ないですが、良ければどうぞ^^ (2019年8月1日 1時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
エレノア(プロフ) - ミズ ミズさん» 分かりました!気長にお待ちしております((。´・ω・)。´_ _))ペコリン (2019年7月22日 3時) (レス) id: 3eb5819514 (このIDを非表示/違反報告)
ミズ ミズ(プロフ) - エレノアさん» ありがとうございます^^どれかキリがついたら出そうと思います! (2019年7月17日 3時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
エレノア(プロフ) - ミズ ミズさん» 出来るんですか!?凄く嬉しいです!幾らでも待ちます! (2019年7月14日 13時) (レス) id: 3eb5819514 (このIDを非表示/違反報告)
ミズ ミズ(プロフ) - エレノアさん» エレノアさん、天くんsideは作成出来そうです。ただ、もう少し練った上で公開させて頂いてもよろしいでしょうか? (2019年7月12日 0時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miz | 作成日時:2019年6月22日 8時