笑顔のキミが好き 【百】 16

先約の相手　2　〜百side〜 ページ14

居酒屋の一画。
半個室で、場所的に芸能界の人が多い店。

【小鳥遊事務所が近いな･･･】

バンさんいるかな。
行く？
いやでも、どっかの店とか･･･

ハッ、もしかしたらこの店とか来る！？
いや、他にも店はいっぱいあるし、バンさんならもっとオシャレな･･･

「モモくん、百面相だね。」

仲のいい俳優さんが笑いながら言った。

もう既に、オレが今日共演した女の子と仲良くなっている。
上手くいったみたいだ。

「モモさん、好きな人の事でも考えてるんじゃないですか？」

女の子の方が言って笑うと、俳優さんが言った。

「アイドルだから大変だよね。でも一途に1人だけを想うのは好感もてるから、いいんじゃない？」
「え？本当にモモさん、好きな人いるんですか！？」

苦笑いした。

オレがAに“片思いしている”というのは、芸能界では一部でバレてる。

世間にバレるのも時間の問題だと困る。
不仲説を後押ししてしまう可能性があるからだ。

どうしたもんか。
1つだけ考えている事はあるけど、まだ駄目だ。
思うように進まない。

「まぁね。気長に頑張るよ！」

笑ってビールを飲む。
飲み物が空になりそうな人を見つけて注文を聞いて、店員さんに注文し終わってからトイレに立つ。
戻る時に知ってる顔を見かけて思わず声をかけた。

「バンさん･･･飲み会ですか？」

「百くん！うん。一段落ついたからね。ねぎらいで。」

事務所の新しい人かな？
知らない人たち。
挨拶をした後、ふとAを思った。

「Aと食事じゃなかったんですね。」

「ん？A？」

「はい。先約って言ってたから、てっきりバンさんかと･･･」
「Aなら事務所に来て大和くんと環くんと壮五くんと帰ったよ？寮で食事だって言ってた。」

寮で食事･･･
先約って、IDOLiSH7か。

「なんだ、普通にそう言えば良かったのに･･･」

「ん？何が？」

「オレ、一緒にいようって言ったのに、先約って言われて妬いてたんです。」

苦笑いして言う。
バンさんも苦笑いした。
バンさんの向かいに座ってる人が口を開いた。

「それって二階堂さんですよね。MEZZO"が先に帰ろうって言うのを、わざわざ待ってましたもんね、Aさん。」
「ちょっと！しー！」

バンさんが慌てて、その人に黙ってるように言うも、バッチリ聞いた。

【大和が先約？】

IDOLiSH7の皆と、なら別に何ともなかった。
それが大和個人だと･･･

再熱した渦巻く感情を持ったまま席に戻った。

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