笑顔のキミが好き 【if･･･大神万理】

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お風呂上がりにテレビをつける。
冷蔵庫からビールを出して椅子に座ってチャンネルを変えた。

【確か今日から放送なはず･･･】

千とAが出るドラマ。

映画も撮ったらしいけど、公開はまだ先だ。

メインの出演者が次々出る中で、3番目に千の名前が表示されて、7番目にAの名前が表示される。
主役、相手役、ライバル&親友役、主役と相手役を応援する友人２人、親友の女友達、の後っぽい。

どんな立ち位置なんだろうと思って見てると、Aが千に告白しているシーンがあって、思わずビールを吹いた。

慌てて雑巾で拭く。

【うわー･･･笑えない･･･】

画面にいるAは、本当に千を好きって全身で言ってるようで、なんだか複雑。

【･･････妹を悪い男に取られた気分。】

いや、実際、千と付き合うと本気で苦労すると思う。
だから逃げ回ってるんだろうけど。

この役、Aも千も辛いんだろうな･･･
実際は、想い想われが逆なのだから、複雑だろう。

そう思っていたら、そんなに日が経たない時に、Aから、女優から的にされそうとラビチャが来た。

電話で朝倉さんたちが喜ぶものを次々教えていく。
わかる範囲でしか協力出来ないけど。

【千の尻拭い･･････結局やってるんだな、俺･･･】

これっきりだと念を押す。
見返りを要求したら、良質のボールペンと大量のチョコを貰った。

こんなに誰が食うんだって量。
新手のいじめじゃないか。
あいつ、分かってやってるな。

恩を仇で返して。
さじ加減という言葉を分かってるんだろうか。

【意外と大ざっぱなんだよな、こういう所。】

呆れてため息をついた。

・

バレンタイン。
今にして思えば、これが俺の転機だった。

当日の朝、事務所に行くと、すでにAがいた。

『おはよう、万。』

表情が少し暗い？

どうしたんだろうと思いながら挨拶を交わし、２人で事務所に入った。

鞄を置いて、朝一の仕事をしながら話をする。
前にお礼だかいじめだかで貰った大量のチョコすらも消化出来ないでいるのに、バレンタインチョコを貰った。

【まあ、こっちは気持ちがちゃんとこもってそう。】

『万。ちょっと聞いて欲しい話があるの。』

Aは真面目そうな顔で言った。

真面目に向かい合って話を聞いてあげたかったけど、朝一の仕事だけは終わらないとと思って、仕事しながら聞く。

前世の旦那さんとの記憶が頭をよぎると、気持ち悪くなるという話だった。

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