笑顔のキミが好き【百】 15 (ページ44)

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MVダンスパート（NO　DOUBT）ページ44

会食後に向かったのは、都内のホテル。
19時頃に合わせて行くと、スタッフが、撮影に使う部屋にエレクトーンや機材をセッティングしている。

「「『おはようございます！Re:valeです。』」」

挨拶をして、監督に説明を受ける。

「ヤスさん。具合悪いの？タオル額に当てて。大丈夫？」

『大丈夫です。･･･お気になさらず･･･』
「そう？」

百がニヤニヤしてるから、軽く足を蹴った。
千は面白いモノを見たような顔で、ホテルのロビーからずっと私を見ている。

取りあえずここで撮影をし、ホテルのロビーに人が少ない時をホテルスタッフの人が教えてくれるから、それを見計らってロビーでの撮影もすると言う。
部屋を用意されて着替えに行った。

【･･･っていうか！！凄いんだけど！！】

やっと１人になって、興奮を抑えられなくて着替えもせずにへたり込んだ。

記憶にある、Re:valeのNO DOUBTのMV。

そのまんまの階段、ソファー、壁。

【撮影に使う部屋も･･･】

ナギ･･･君の気持ち、良く分かるよ。
聖地巡礼、すごいテンションあがるよね。

私、耐えられるかな。
百と千が着替え終わった姿。

ロビーに入った時、百は“これもあったかぁ”と残念そうに呟いて私を見た。

『何が？』

「ん？あそこで撮影するんだなーって思っただけだよ？」

百はすっごい、いい笑顔で私を見ながら階段の方を指差す。
自然とそこに目がいった私は、一瞬にしてMVの世界へ引き込まれた。

千「･･･ヤス･･･じゃなくなってるよ？」

「あははっ、ヤス、目がキラッキラしてて可愛いでしょ？ユキ。」

「･･･すっごい可愛い･･･ヤスじゃないので見たかった･･･」
「それは駄目！モモちゃんが独り占めすんの！」

そんな２人の声も聞こえない。
吸い寄せられるように階段の方へ行こうとすると、百に腕を取られた。

「タオルで顔隠して。撮影の部屋はあっちね？」

『あ･･･』

我に返った。

撮影に使う部屋も、シャンデリアも、カーテンも。
込み上げる気持ちは治まらなくて。

大きく息を吐いた後、着替えに目を移す。
着替えてからメイクを直す。

仕事に切り替えよう！

着替え終えて撮影部屋に行くと、その心がポッキリ折れそうになった。

いや、きっと、そんな音どっかでしてたよ。

【かっこいいい･･･】

右手で口紅がとれない程度に口を覆う。
ニヤニヤしそうなのを必死で耐える。

羽を付けたジャケットを着てない２人が私の隣に来た。