MVドラマパート撮り 4 ページ32
『行ってくんね。』
たったそれだけなのに、ギューッと心を掴まれる。
【私、どんだけ百好きなの・・・・・・】
ちょっと恥ずかしくなる。
「・・・・・・ヤスさん、デレデレ・・・」
『何言ってんの!おかりん黙って。』
そんなの自分が一番分かってる。
立ち位置とか確認されて2人が対峙する。
【あー。曲が頭の中で流れる・・・】
まだアレンジしてないけど。
監督のスタートの声に、一瞬で百と千の顔つきが変わる。
マゼンダ色の瞳をした百の笑み。
それを厳しめの表情で見つめる千。
拳銃を構える千。
モニターを見ると、ロングカットとアップが映し出される。
【ヘリからのカメラ映像と近くのカメラ映像か・・・】
百の後ろにマットが置かれて、スタッフの合図で百が倒れた。
千のアップも撮られる。
色んな角度で撮られていて、実際使うのは編集でって言われたけど、多分、私の頭にある物と、そんなに大差なさそう。
あとはダンスパートの撮影だ。
あちこちで、お疲れ様でしたと声がする。
今日は終了。
と思いきや、千だけのドラマパートが残っている。
「昨夜の映像で、防犯カメラを見てるシーンとかね。」
『ああ、そうね。でも私、ビックリしたんだけど、警察の拳銃ってリボルバーでしょ?モデルガンでもリボルバータイプあると思うけど、自動拳銃にしたんですね。』
【ドラマだって、リボルバータイプ用意したりするのに。】
ヘリも戻ってきて、シーンとなった現場に驚いた。
全員が私を見る。
あれ?言っちゃいけなかった?
千「ヤス、よく知ってるね。」
『え?ドラマで使われてるし言ってるでしょ?』
「ヤス!ユキは警察じゃないからいいんだよ!ね?犯罪心理分析官でしょ?それに・・・」
「警察の拳銃を使わない理由がちゃんとあるんだよ。」
監督がにこやかな笑顔で言った。
【そっか・・・】
『申し訳ありません。出過ぎたこと言いました。』
ペコッと頭を下げると、大丈夫、そう思う子もいるって事だからねと笑ってくれた。
「よし!じゃあユキ、後で待ち合わせね!ヤス、デートしよ〜!」
『ええ!?』
【本気だったの?】
びっくりして百を見ると、百がコソッと言った。
「朝倉さん、どうだったか教えて。・・・・・・デートのついでにね。」
少し照れたように笑う百がかわいい。
皆と別れて、少し遊んだ後、観覧車の中で話した。
「そっか。話聞いてくれたんだ。交換条件とかは?」
『交換条件は・・・』
教えると、百が苦い顔をした。
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作者名:miz | 作成日時:2019年6月4日 7時