クラクション 2 〜百side〜 ページ28
これから、いちゃいちゃラブラブだったのに！！
とは思うものの、当初の予定が最優先事項なのは分かっている訳で。
車に乗り帽子を取って寮周辺を走る。
そんなに時間は経ってないはず。
どっちに行った？
周りの迷惑にならない程度の低スピードでハンドルを切る。
【うーん･･･もうちょっと範囲広げるか？】
一周して、違う方へ行こうとすると、それらしい２人を見つけた。
窓を開けてクラクションを鳴らすと２人が振り返ってこっちを見た。
窓から顔を出す。
「あはは！びっくりした？夜遊びしてちゃだめじゃんかー。一織はまだ学生だろ？」
「百さん･･･。」
三月の顔が涙でぐちゃぐちゃだ。
「･･･どうしたの、その顔･･･。」
【Aから言われなくても、これは･･･】
「おいで。乗っていきな。」
２人を乗せて、オレの家へ向かった。
「オレん家でいい？汚くて申し訳ないけどさ！」
「ええ！？百さんの家！？いやいや、その辺のホテルとか取りますよ！」
「そうですよ。わざわざ先輩の家までは･･･」
「いいの、いいの！かわいい後輩の面倒くらいみさせてよ！最近あんまり家にいる時間なくてさ、一緒にゆっくりさせて！」
ミラー越しに後部座席を見ると、２人が顔を見合わせてるのが見えた。
三「じゃあ･･･」
一「お言葉に甘えさせて頂きます。」
家に着くと急いで洗濯物や床に置いてある物を端っこに寄せる。
振り返ると、２人が絶句してるように見えた。
うう。先輩としての威厳･･･
「ソファにでも座って〜」
「「お邪魔します。」」
あー、緊張してるなー。
分かる分かる。
オレも昔ユキと一緒に住むの緊張してたもん。
Aが初めてオレとユキの家に泊まりに来た時も、めっちゃ緊張したし。
「何か飲む？･･･っつっても、ももりんとか、ももりんとか、ももりんとか･･･」
一「ももりんしか、ないじゃないですか･･･」
三「じゃあ、それで。」
「うそうそ。ちゃんとあるよ！Aとかユキが来た時用の無糖紅茶とか、烏龍茶でしょ、あ、作れば麦茶も！リンゴジュースも！」
ウインクしながら笑うと、２人も笑ってくれた。
一織が立ってキッチンに来てくれる。
「手伝います。」
「いいよ。お客さんだし！」
「いえ。一泊させて頂くんですから･･･じゃあ、あちら畳ませて頂いても宜しいですか？」
「オレもやります。」
一織と三月が洗濯物を指差した。
２人分の烏龍茶と、ももりんを出して、３人で畳みながら話を聞くことにした。
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作者名：miz | 作成日時：2019年5月16日 5時
