記憶と現実 3 ページ24
『そうだよ。モテるとかさ、ファンクラブとかは知ってるけど。サッカー以外には何してた？とか、昔に彼女いたの？とか、仮にもアイドルなんだから伏せられてるんだよ。好みのタイプは知ってるけど。』
「ユキみたいな人？」
『違うよ。ファン用じゃない。』
インタビュー形式のは、全て“好みのタイプはユキ！”だった。
紡とのラビチャと、おかりんに言ったのは違った。
あれが本音だと思ってる。
「うーん･･･でも、Aの記憶がどうだろうと、オレが好きなのはAなのは変わらないよ。オレにとっての現実は、今ここにあるものだからさ。」
百がそう言って照れたように笑った。
･･････凄く、心に響いた。
私が、千に遠慮してた部分を、何でもないことのように言われた気がした。
【私の記憶がどうだろうと･･･現実は今、ここにある。】
記憶に囚われすぎてる自覚はある。
百は当たり前の事を言っただけなのに。
『ありがと。百。』
「ん？何が？･･･好きって言った事？」
『ふふ、それでいいよ。』
「え？違うの？」
『ううん。私も百が好き。』
「ちょっと！かわいい事言わないで！」
『えー？百が先に言ったんでしょー。』
「そうだけど！･･･もう！」
何でか怒られた。
と思った瞬間に、キスされた。
驚いて固まる。
百は周りを見て、ホッとしたように胸をなで下ろした。
【え？外で？･･･え？】
急に恥ずかしくなって体温が上がる。
口に腕をあてた。
『だっ･･･誰かに見られてたら･･･！』
「だ、誰もいない！岩場で隠れてるし！」
『後で確認したよね！？何してんの！？』
「かわいいA･･･っヤスが悪い！」
『知らないよ！私のせいにしないで！もう、帰る！』
立って砂浜へ歩く。
「ええ！？じゃあオレも帰る！」
『やだ！付いて来ないで！』
「帰る方向同じでしょ！」
『後で帰れば！？』
「あ、待って！ちょっと待った！ヤス！」
腕を捕まれて、体に電流が走ったかのようにビクッとなった。
『･･･何。』
振り向かずに聞く。
「帰る方向、あっちだよ･･･。」
振り返ると、百が別方向を指差して笑うのを我慢したように下を向いて肩を震わせている。
【テンパって思いのままに歩いてたせいだ。】
うっわ、恥ずかしい！
「ぶ･･･くく･･･」
『･･･我慢せずに笑えば？』
「い、いやっ･･･ふ･･･帰ろ･･･っ」
ずっとこの状態で腕を引かれながら帰った。
その後、バスローブ姿の千に爆笑された。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 396人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミズ ミズ(プロフ) - 汎用うさぎさん！ありがとうございます！描いて貰える事があるなんてびっくりで、とっても嬉しいです！夢主ちゃんですよね？リンク貼らせて頂きますね♪ (2019年5月9日 21時) (
レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
汎用うさぎ(プロフ) - イラスト描いてみました。良ければ使ってください！http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/b/36bc53eadf1a1bf4c404b48dc6d305f7.jpg (2019年5月9日 18時) (レス) id: 8e53fc3a0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miz | 作成日時：2019年5月2日 18時
