笑顔のキミが好き【if･･････二階堂大和】3 (ページ44)

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“そこにAの感情はあるのか？”
“あるよ。”

『私の気持ちは、ヤマさんが決めるのね？私が決めたら駄目なの？じゃあいいよ。勝手にして。･･･先にお風呂入る。』

「A･･･」
『お・風・呂・入るの。』

ヤマさんに背中向けて、千の家に着替えがあるのに、わざわざ持ってきたスウェットと下着を鞄から出して浴室に行った。

シャワーを出して頭を洗う。

『･･･っ。う･･･っ』

知ってるよ。
ヤマさんがしんどいの、知ってるよ。

でも、私の気持ち、勝手に決めないでよ。
私の気持ちがヤマさんにある事、伝わってなかったの？

昨日したキスは何だったの？
大丈夫って、思ったんじゃないの？

何がいけなかった？
千の家に来たこと？

･･･いつもの事だ。
仕事って割り切れてないの？
ヤマさんが？

“いつもの大和じゃないんだよ。分かる？”

『百･･･っ。』

未来の百の言葉。
でも、どうしたらいいの？
あんな事言われて、私の気持ち疑われて、それでも大丈夫だよって笑えるほど、私強くないよ･･･

【でも、ずっと一緒にいたい･･･】

顔を水で洗って、落ち着いてからお風呂を出た。
リビングにヤマさんはいない。

･･････寝室かな？

寝室のドアの前で、ノックするのをためらう。

どうしたらいい？
お互いに好きなの、分かるよ。
なのに、演技じゃなくて、離れなきゃいけないの？

『･･････っ』

駄目だ。
落ち着いたと思ったのに。

感情に任せて、貰った大事なモノをヤマさんに放り投げてしまった。
あれだけ、後悔してる。

布団を持ってスタジオに入る。

「A？まだ出来ないよ。」

『うん･･･ちょっとここで寝ても良い？今日だけ。ちゃんと端っこで寝るから。』

千が目を見開いて、ギターを持ったまま私の隣に座った。

「音、煩くない？」

『うん。いい。』

「それで良いなら寝なよ。」

『･･･ありがと。』

布団にくるまって横になると、千が頭を撫でてくれた。

懐かしい。
この感じ。

千が優しくて、ポロッと涙がこぼれた。

千は何も言わずに、手を離してギターを弾く。

新曲じゃない。

【ああ、私が初めて覚えた曲･･････】

それをバラード調で弾いてくれる。

ホッとして目を瞑った。
いつのまにか、そのまま眠ってしまった。