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百と話をしながら見張ってると、みっちゃんといおりんが出てくるのを双眼鏡で見た。
百が急いで出て行って、ヤマさんが出たタイミングで、陸経由でそうちゃんから電話が来た。

・・・「大和さんは、Aさんの家に泊まると思うんですけど。一応帰ってくる日をお聞きしたいので連絡頂けますか。」

『ヤマさんに言っておく。けど、私の家には泊まらないよ。みっちゃんといおりんは百に任せた。ヤマさんも人に任せる。』

・・・「どうしてですか?」

『事情があって距離置いてるの。喧嘩じゃないから大丈夫だよ。』

そう言うと、そうちゃんは安心したように息を吐いたのが分かった。

あっちでもこっちでも喧嘩って大変って思ったんだろうな。
対応にも困るよね。

インターホンが鳴ってヤマさんが来た。

【ああ、やっぱり・・・】

私の家に来るのか。
距離置くって言ったのに。

【ちゃんと演技しよう。】

深呼吸して鍵を開けた。



防音室で万に電話したら、今から来てくれるって言ってくれた。

・・・「泊まらせてあげればいいのに。そこまで拘らなくてもいいだろ。」

『いいの。付き合ってるのがバレるのも、そう思われるのも問題だし、万の所なら安心。一泊か二泊でいいから。』

・・・「その後は?」

『内緒。』

・・・「お前・・・はぁ、分かったよ。」


救急箱だけ持ってヤマさんの怪我の手当てをした。
ヤマさんの顔が歪む。

痛かったかな?

「お前・・・俺の事、好き?」

『え?』

泊まらせないって言ったから?

うん、って
うん、好きって

言いたいけど。

距離をここで置かないと、ヤマさんを巻き込む。
距離は置いといた方が良い。
別れたふり・・・

『・・・何言ってんの?』

ヤマさんが泣きそうな顔してる。
言い方、きつかった?

「も、俺じゃ駄目?だから百さんが来たのか。」

『え?百?・・・ああ、来たけど、見張りを・・・っヤマさん!?』

私が言い終わらないうちにヤマさんがキスをしてきた。

【駄目だ。ここで流されたら・・・!!】

両手で精一杯の力でヤマさんを押したけどヤマさんに掴まれて押し倒された。
今度は押しつけられるように唇が重なる。

【こんな強引なの、ヤマさんらしくない!!】

こんなの嫌だ。

今、ヤマさんが辛いの知ってる。
でも・・・

ヤマさんに掴まれたままの震えそうになる手に、ギュッと力を込めた。

「男に力で勝てると思ってんの?」
『・・・っらしくないよ!』

ヤマさんを睨んでお腹から声を出した。

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作者名:miz | 作成日時:2019年4月28日 22時

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