笑顔のキミが好き【if･･････二階堂大和】3 (ページ33)

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「カット！照明変更入ります！」

スタッフの声がする中、棗が監督に褒められている。
撮影は順調だ。

小さくため息をついた。

【･･･俺もしっかりやらないと。絶対にこれだけは成功させる。あいつらのために･･･。】

そして、早く役を掴む。
自分とAのために。

･･･Aのために？

今日の撮影では一回も目が合わなかった。
Aは合わそうとしなかった。
役で話はするものの、仕事内容以外の会話は全くだ。

まるで本当に別れたかのような錯覚に陥る。
Aは元に戻りたいと思ってくれているのか？

笑い合った日が、何故か遠くに感じる。

【堪える･･････】

千さんが俺に近づいて来たので挨拶をした。

絶対何か言われる。
俺とAの態度見て、言わないわけがない。

「･･･雨降りそう･･･。」

「･･･そうですね。」

何が言いたいんだろ？この人。
相変わらず分かんねえな。

「･･････。君に初めて会った時、こう思ったよ。真面目で潔癖そうな子。」

「なんですか、急に･･･。俺はチャラそうな男なのに、Aの事自分のもんって思ってそうだと思いましたよ。」

「はは･･･まあ、間違ってないよ。」

間違ってないのか･･･。

「でも･･･。初めて男に見惚れました。こんな人間がいるんだって･･･。」

「･･････。君は真面目で素直な子だ。どうして適当な振りや、ひねくれた振りをしてるのか分からないけど、Aの前では違うだろう？」

「ひねくれた振りなんか･･･。」
「ちゃんと聞いて。」

千さんが役について根詰めるなとか監督に聞いてとか、俺の状態を言ってきた。
Re:valeの主題歌のデモも上がらないって心配されてると言うと、千さんでも苦しいんだと言われて驚いた。

「君は、前の身軽さがない。どうしちゃったの。」

【･･････Aにも言われた。】

力が無駄に入らない、いつもの俺でと。

「･･･Aとの喧嘩は原因じゃないでしょう。･･････いや、あれは喧嘩じゃないか。ふふ、Aも大変だね。」

「え？」

【大変･･･？】

ポカンとして千さんを見ると、困ったように笑う千さんが言った。

「前の大和くんなら、気づいたと思うよ。･･････そうね、Aが今のような態度をする事もなかったかな。」

千さんが手を振って行く。

千さんが言ってる意味は分からなかった。

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