日記帳の中身 ページ39
『今？』
「今じゃなくて･････えと･･･」
百は私から視線を逸らす。
『鍵は貸せないよ？』
「いや、それはいいんだけど。･･･あの、明日仕事行くまでとか！昼からだしさ！」
『ああ、うん。じゃあ明日に鍵かけるよ。』
そうして部屋に行って鍵をかけないまま本棚へしまった。
戻ると百が難しそうな顔をしていた。
『まだ聞きたいことある？』
「あー･･････いや、お、お風呂入ろうかな？」
『ああ、うん。じゃあ百の荷物も洗濯だけしちゃおうか。』
言いながら百の荷物に手を伸ばす。
「ああ、洗濯。お願･･････いや、待って！オレがやる！」
荷物を奪われた。
『え？何で？やるよ？』
「いいの！その、下着とかあるから！」
百が真っ赤になって叫ぶように言った。
『え？小鳥遊家に居候の時に、おじさんの下着とかも洗ってたし大丈夫だよ？』
「で、でもいいの！」
『でも結局、一緒に洗うだろうし、洗濯干すのだってやるんだよ？』
「うぐ･･･べ、別々に洗う･･････。」
思春期の娘か。
急に迫ってくるのに、こういう所は乙女かと思う。
判断基準がよく分からない。
「こんな堂々と言われるなんて聞いてない。」
百がブツブツ言いながら鞄を開ける。
『なにそれ。言わなきゃいけないことなの？』
フッと笑って言うと、
「いや、恥ずかしそうに、きゃー触れません見れません！ってなるかなーと。」
と言われて、百自身がそうなるのは想像できた｡(笑)
『普段の私から、そういう態度が想像出来るの？』
「んー･･･あんまり出来ないね！赤くなるかもとは思うけど！」
『そうですか。』
百は、でも夢見たっていいじゃん！恥ずかしがってるの可愛いのに･･･と口を尖らせている。
なんだその夢。
取り敢えず洗濯用のネットを渡して、それに下着を入れて一緒に洗う事に了承してもらった。
お互いにお風呂を上がると、飲み物を飲みながら百が言った。
「そういえばAはオレのこと、前世から好きって事だよね？」
『えっ！？･･･ああ、まぁ、そうだね･･･。ごめん。めっちゃ重くて。』
ちょっと違うけど、似たようなもんだ。
恥ずかしい。
『なんで？嬉しいよ？A、これからもオレの隣にいてくれる？』
百が近づいて私に微笑みかける。
こんな話を聞いて、それでも一緒にいてくれる。
嬉しい。
『･･････はい。』
近づく百の嬉しそうな顔も、全てが嬉しくて、そっと目を閉じた。
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作者名：miz | 作成日時：2019年4月19日 5時
