そのうち・・・ 4 ページ22
百のお母さんが私に聞いてくる。
「Aさん。私が以前言ってた、百瀬と一緒に来るのは出来そうかしら?覚えている?」
『えっ!?・・・あ、えと・・・覚えてます。』
真っ赤になった私に、千も瑠璃さんも百のお父さんも不思議そうな顔をした。
百のお母さんは嬉しそう。
「その様子なら楽しみにしてるわね。」
『あ・・・いや、あの・・・。はい・・・』
なんて言っていいのか分かんないよ!
“お嫁さんなら安心だわー”
“そのうち・・・オレの・・・”
【もうこの親子、心臓保たないから勘弁して・・・】
「何が楽しみなの?」
「5年前位かしらね。Aさんは、百瀬は絶対にトップアイドルになるって言い切って説得しに来たの。お預かりしますって言ってくれた。お嫁さんが、こんな人だと安心よね。」
「え?でもユキは?」
瑠璃さんが千を心配したような顔つきになった。
千が笑う。
「僕は身を引きました。大事な人というのは変わらないけど、きっと誰より2人を応援してます。」
ビックリして千を見た。
【なにそれ。そんなの初めて聞いた。】
瑠璃さんは頬を染めて「モモヤスだったのか」とか「Aさんが妹とか鼻血出そう」とか言っている。
いや、お嫁じゃないから。
・・・・・・・・・まだ。
百の連絡先を渡して、連絡を取ってくれる事への安心と恥ずかしさを感じながら、春原家を後にした。
「じゃあ次。・・・ていうか、Aがモモの家に既に挨拶行ってるとは思わなかったよ。5年前っていつ頃?」
運転しながら千が言った。
『百がRe:valeになるって決まって少し経った時。』
「えっ!?家族と喧嘩したとか本当は帰れないなんて、最近聞いたばかりでしょう?」
運転しながら驚いた顔で言う千を見て笑う。
『そうだね。でもあの頃の百は笑顔だったけど、時々ちゃんと笑ってなかったよ。笑顔を作ってた。分からなかった?』
「・・・分からなかった。・・・そうか。Aだから分かったのか。」
『どういう事?』
「最初からモモの事を好きだから、ちゃんと見てたって事でしょ。」
少しホッとした。
そんな風に捉えられてるなら安心かな。
サービスエリアで食事して着いた先は、やっぱり万の家。
さっきより緊張してる顔してるなぁ、千。
『大丈夫だよ。話したらキチンと分かってくれる人だから。』
「そりゃ、Aは信用されてたしね。僕は言い合いばかりしてた。」
そう言った千は、懐かしむような困ったような顔をしていた。
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作者名:miz | 作成日時:2019年4月19日 5時