伝わりますように ページ44
歌う練習をしても、歌えなかった百。
背筋が凍るとは、こういう事を言うんだろう。
【知らない･･････こんなの･･･。どうしたらいいの･･････】
「･･････。やっぱり、ダメだね･･･はは･･･ユキの愛情めちゃくちゃ感じたのに。バンさんにも会ったし、本物って言われたのに･･････」
ハッとして百を見る。
辛いのは百なんだ。
でも･･･こんな記憶はない。
最悪の未来･･････。
【どうしよう･･････怖い･･･。】
「ヤス、渡すものって？」
『あ･･･えと･･･』
これで伝わる？
･･･伝わらなかったら？
伝わらなかったら百は、歌えないままなんだろうか？
震える手で紙袋を持っているけど、渡すのが怖かった。
百は不思議そうな顔をして、私の手にある紙袋を取る。
「･･････これ？」
『あ･･･。』
怖い。
伝わってほしい。
でも伝わらなかったら？
ずっとその想いが交互に脳裏をよぎる。
見ても良いか聞く百に、やっとの事で頷いた。
百の目が大きく見開かれたのが分かった。
「凄い･･･こんなにいっぱいのキャンディ･･･」
可愛いプラスチックのボトルの中に、小指位の大きさのバラの飴が、たくさん入っている。
百の嬉しそうな顔を見ると、ちょっと自信がついてきた。
『遅れたけど、ホワイトデーなの。特注品で、売ってないの。』
言いながら、もう１つの紙袋を出した。
『そのボトル、飴が何個入ってるか書いてるでしょ？』
言うと、百がボトルのシールを探して見た。
「96個。」
『うん。あとこれで完成。どうぞ。』
辛うじて笑ってもう一つの紙袋を渡した。
百は中を見ると、泣きそうなのを堪えるように唇を噛んだ。
【これで伝わって･･････歌えてほしい。】
祈るように、百を見る。
百は震える声で言った。
「99本のバラ･･･」
『うん。』
紙袋には大きめの、3本の赤いバラの砂糖菓子の細工。
私が作った物だ。
「A･････」
百が涙を流して私を抱きしめた。
『うん。』
「オレ達らしいね。」
『･･････でしょ？』
99本のバラの意味は、最愛。ずっと好きだった･･･そういう“告白”だ。
「･･･っごめ･･･っA･･･」
泣いてる百の背中をポンポンあやすようになでた。
『百瀬が、誰より大事で、好きだよ。』
「･･･オレも･･･Aが一番好き･･･」
少し離れて、百と唇が重なる。
また離れて微笑み合ってまた重なった。
伝わったかな？私の想い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 366人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミズ ミズ(プロフ) - 巫リオネさん» いつもありがとうございます！公開しました！教えていただきありがとうございました！ (2019年4月13日 9時) (
レス) id: 9f5e9cb3e5 (このIDを非表示/違反報告)
巫リオネ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく拝読させて頂いております！登場人物みんな可愛くてかっこいいです…！これからも応援してます！あと補足なんですが…それぞれの反応2が公開されていないみたいです…… (2019年4月13日 7時) (レス) id: e609e440af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miz | 作成日時：2019年4月6日 12時
