オレの歌声 〜百side〜 ページ13
オレが気になることは、Aの傷痕と、Aとユキの気持ちだ。
Aは、大丈夫だと、気休めなんかじゃないからと、自信があるように言ってくれた。
オレは自信がない。
オレはどうしたいんだろう。
期限切れは変わらないのに。
TRIGGERと一緒の番組収録でも、また歌えなかった。
落ち込むオレに「２人で一緒に食べよう」と言ってオレの家で夕飯を作ってくれたAが、片付けた後に言った。
『ねえ、百は、万に会いたいと思う？』
喉の奥が塞ぎそうな気がした。
歌えなくなる時と同じ感じ。
ソファに座ってテレビを見ていたのに、もう音が入ってこない。
「なんで･･････」
絞り出すように声を出す。
Aはオレの頭をなでて微笑んだ。
『百。今日夕飯に誘ったのはね、百が万に会いたいかを聞きたかったの。･･････千がいると、言えないでしょ？･･･千は会いたいと思ってるけど、百は答えが出ないんでしょ？ごめんね、嫌なこと聞いちゃって。』
「嫌じゃないよ！オレ、バンさんのこと凄く尊敬してるし、大好きだよ！･･･でも･･･」
悪夢がオレを縛る。
バンさんが亡くなる夢。
バンさんとAが、事故に合った時の記憶。
『いいよ。私は最初から、万の事探さないって言ってるでしょ？探すのも探さないのも自由。万が会いたくないと思ってたら、きっと見つからないと思わない？』
Aが冗談混じりな顔をして言う。
「･･･え？バンさんが、会いたくないと思ってたら？」
『例えだよ。』
Aはそう言って笑った。
そんな事、考えたことなかった。
だって、いつだってユキさんとAさんと仲が良くて、あんなに３人大事に想い合っていたのに？
失踪する前のバンさんに最後に会ったのは、多分Aなんだと聞いた。
そこで話をしたのか？
Aがバンさんを探さないと初めから言ってたから、本当は不思議だった。
バンさんに最後に会ったハズのAだからこそ、聞いた以上の理由があるんだと思って何も言わなかった。
きっとユキは、オレもバンさんに会いたいはずと思ってるだろうな。
会いたくない訳じゃないんだ。
Aの傷痕と同じ。
受け入れる勇気がないんだ。
「A、傷痕見せてくれる？」
『え？こんな状況で？』
「だからだよ。」
傷痕を見ながら思う。
この傷痕は、Aがユキとバンさんを庇おうと手を伸ばした結果だ。
女の子なのに、自分の体をかえりみなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 366人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミズ ミズ(プロフ) - 巫リオネさん» いつもありがとうございます！公開しました！教えていただきありがとうございました！ (2019年4月13日 9時) (
レス) id: 9f5e9cb3e5 (このIDを非表示/違反報告)
巫リオネ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく拝読させて頂いております！登場人物みんな可愛くてかっこいいです…！これからも応援してます！あと補足なんですが…それぞれの反応2が公開されていないみたいです…… (2019年4月13日 7時) (レス) id: e609e440af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miz | 作成日時：2019年4月6日 12時
