笑顔のキミが好き 【百】10

１人で作曲　２ ページ19

曲･･･イメージが先か、テーマが先か･･･

Re:valeで浮かぶのは、ずっと一緒にやってきた千や百や万だ。
でも、この世界では誰も百と千だけのRe:valeを知らない。

記憶の中だけの、私しか知らないRe:vale。

【この私の気持ち･･･立場を曲にしてみようか･･･】

伝わるかな？
このままでいいと思うのに、このままでいいのか不安になる気持ち。

『千、ちょっとスタジオ借りる。』

「うん。」

曲作りは、気持ちがノってるときが1番良い。
今まで、万が教えてくれた事や学校で習った事を、私の精一杯で曲に表現する。

万以外に、誰にも言えない。
1番大好きな百にでさえ、言えない。

万に聞かれた事がある。

“俺にしか言ってないの？”

万以外に誰に言えばいいの？
言ったら、何か変わるの？
この先の辛いことがなくなったら、良かったとは思うだろう。

じゃあその先は？
ずっと辛いことを回避して、その不幸が降り積もって、知ってる未来よりも最悪の未来になってしまったら？

百が歌えないまま終わってしまったら？
TRIGGERを救えなかったら？
百が本当にベランダから落ちてしまったら？
ナギが帰って来なかったら？
Re:valeが本当になくなったら？

･･････怖い。

私がいるだけで、どれかが現実になってしまったら？
ずっと、変えたくて、でも変えたくない。
矛盾してる気持ちを抱えている。

・

『･･････出来た。』

【･･････。】

勢いで作ってしまった･･･。
なんだ、この、やっちゃった感。

全部弾くだけ弾いて、後で楽譜にのせた。

【いや、ちょっと一回弾いてみよう。】

弾いてみると色々気になってくる。

あれ？こういうの変えた方がいい？
歌いにくそう？

迷っていると、ドアをノックする音が聞こえて、立ち上がってドアを開けた。

「あ、やっと開いた。」

ホッとしたように笑う百。

『やっと？』

「何回か来てノックしたんだよ？返事ないから集中してるんだろうってユキが言ったけどさ、もう結構遅いから。」

時計を見るともう少しで日付が変わる。

『あー･･･うん。今日はお風呂入って寝る。』

「曲は？出来たの？」

百がそう言ってエレクトーンに近づいた。
そして楽譜を手に取った。

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