笑顔のキミが好き 【百】10

１人で作曲 ページ18

百の誕生日が来て、３人で千の家に泊まる。

『なんで百の家に泊まらないの？』

「汚いから！」

『前キレイにしてたでしょ？あれから散らかったの！？』

ニコニコ笑いながら言う百の横腹を小突く。
難なくかわされた。

「A、片付けに来て〜。」

『人に頼らない！』

「えー？」

私と百の会話に、千はずっと笑っている。
私も楽しい。

アルバムは完成して発売されている。
今度はシングルを出す予定だ。
5周年の節目のCD。

【もう、何を出すのか知ってるけど。】

千は、そろそろ本格的に万を探す予定だ。
誰なら知ってそう？
この人の連絡先分かる？

そう聞かれて、困った。
誰なら知ってそう？の問いには答えられないので、連絡先分かる？って聞かれた人だけ教えた。

それも、直接、万には繋がっていない。
万は、いなくなってから携帯を変えて全てを捨てたから、前と今とで繋がっているのは、私と音晴おじさんだけだ。

ご飯を食べ終わって誕生日を祝った後、千が言った。

「A、新曲のカップリング、一人で作曲しない？」

『は？』

「なんだかんだで、一度も作ってないでしょう。最近やっと仕事も一段落した。やってみない？」

【え？カップリング？カップリングって･･･】

Dis one？
いやいや･･････あれはゼロの曲だって。

でも、これから出る曲はほとんど知ってる。
今しかチャンスはない。

「いいじゃん！やってみたら？聴いてみたい！」

百も嬉しそうに言っている。

『あー･･･じゃあ、出来るか分かんないけど、やってみる。』

「出来るよ。僕と何年一緒に音楽やってるの。」

『わー･･･ハードルあげられた･･･』

「曲の軸だけでもいいから。」

『･･･うん。』

ちょっとドキドキする。
でもワクワクもする。

【そうちゃんの気持ちが分かるかも。】

曲が出来たらどんな気持ちになるんだろう。
どんな曲がいいかな？
Re:valeの曲だから格好いい方がいいな。

TO MY DEAREST みたいにバラードもいい。

あれはもう完成した。
どうした方がいいという事をいつも言うのに、完成された曲を知っているせいで口出しが難しかった。

いつもより大人しいと言われて2人が不思議そうに言ったけど、話し合って出来上がった曲を弾く時に、どこか音を間違ったらしかった。

「さっき間違えた箇所あった。珍しい。でも、そっちがいいな。」

千がブツブツいいながら楽譜を取って修整した。

記憶通りのを弾いていたらしい。
ノってると難しいなぁ･･･

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