53 〜大和side〜 ページ31
実際、そんなに誕生日は好きではない。
昔は良かった。
愛されてる実感もあって、皆優しくて、幸せで。
それが偽物だと思ってからは全てが敵に見えた。
Aに会ってからだ。
IDOLiSH7に会ってからだ。
こんな想いを知ったのは。
特にAは、好きでも簡単には手に入らなかった。
いつも会えないし、すぐに手をすり抜ける。
求めても手に入らない虚しさを知っているから、振ってくれと言った。
自分から手を離す事が出来ないのに。
万理さんが以前言ってた。
“頑張ったんだ。”
振り向かせる為に頑張ったつもりはない。
普通に頑張ってたのは、好きだと気づいてから告白する日までだ。
それからは、頑張るのが怖かった。
Aの気持ちが分からない怖さが、自分の事を好きになって欲しいと求める怖さが、受け入れてくれなかった時を知っている怖さがあった。
「大和さん?どうした?」
お祝いも終わって、片づけ終わったリビングでボーッと考えていると、明日の朝ご飯の仕込みを終えたミツが聞いてきた。
他にいるのはナギだけだ。
皆、寝てしまっている。
「なぁ、ミツ。」
「うん?」
俺が座っているソファーの隣にミツが座って、俺を見た。
「俺、Aと付き合ってんだわ。」
「ん?・・・・・・は?」
ミツが目を丸くした。
思わず笑う。
ナギが嬉しそうに、こっちを見た。
「はあぁ!?」
ミツが大声で立ち上がる。
「いや、みんな起きるだろ。」
「いや!だって!何言ってっ!・・・・・・え?マジなの?」
「ワタシは随分前から知っていましたよ?」
「えっ!ナギも!?」
ミツの慌てた反応が面白くて笑った。
「他に誰が知ってんだよ?」
「えぇと?万理さんと、百さん、千さん。あとあっちの事務所の社長さんと岡崎さん?Aの事務所関係だな。」
「ヤスさんは知らねえの?」
「あぁ、知ってる。」
忘れてた。
同一人物だからカウントしてなかった。
「いつから?」
「えーと・・・春になったら2年かな。」
「そんなに・・・・・・」
「OH・・・では、オーディションの時には既にステディでしたか。出会ったのは?」
あーあ、何かめんどくさくなってきたな。
そっち方面に行って欲しくないな。
「えーと、知り合いの紹介。そこまでしか言わねえからな。」
言って立った。
「マネージャーとメンバーには?」
ミツを見ると、心配そうにしていた。
「もうちょっと黙っておいて。」
苦笑いして、おやすみ、と言って寝た。
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ミズ ミズ(プロフ) - chattyさん» いつもありがとうございます!またよろしくお願いします^^ (2019年3月22日 22時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
chatty(プロフ) - 続編ありがとうございます!毎回ドキドキして拝見させて頂いてます(o^^o) (2019年3月22日 19時) (レス) id: 01aa2e4b44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miz | 作成日時:2019年3月22日 8時