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ファンレター ページ27

学校帰りにライブハウスへ向かう。
三周年ライブから少し日が経った。

あの日はいつもより客席をよく見た。
すぐに見つけた。
百だ。
百がいる所だけがハッキリ見える。
嬉しくて嬉しくて、泣きそうになるほどに気持ちが溢れてくる。
ずっとずっと会いたかった人が、私のことも見てくれていた。

百ばかり見ていたからか、ふと百と目があった。
ドキッとして心臓が跳ねる。
嬉しくて笑顔を向けた。
その途端、百は視線をずらしてしまった。
残念な気持ちと、ちゃんとしないとという気持ちでエレクトーンを弾く。
話したいな。
でも今は出来ない。
でももう少しで話せる。

思い出していたらニヤニヤしていた。
うう、いかんいかん。変な人になってるわ、私。
ライブハウスの楽屋まで着くと、万の声がした。

万「長い手紙だけど、全部読めよ！」

万がファンレターの話をしているのが聞こえたので、楽屋のドアに寄りかかって聞く。
百からのファンレターだ。ファンレターは万のものになるだろう。
万はいなくなってしまうのだから、万にあげた方がいい･･･
そう思うと、ズキッと心が痛んだ。
･･･いなくなってほしくない。

二人と一緒にいることが、居心地良くなってしまった。
運命を変えようだなんて思ってなかった。
だって、みんな色々あるけど結局は乗り越えて強くなっていく。
ただ自分がしたかったのは、色々なことをフォロー出来たらと思っただけだ。

万が千をシカトした１ヶ月のように、本来全く会話がなかったはずの事を私が間を取り持つことで、不便さを最小限にした。
最初から出来るなんて思ってなかったけど、今の立場だからこそ出来る事というのが増えた。
万の上京のフォローもした。

でも、運命を変えたいと思ってしまっている自分がいる。
あと二年なんて短すぎる。

『･･･っ』

溢れ出た涙をゴシゴシ拭いて、前を向く。
明るい笑顔を作って楽屋のドアノブを回した。

『やっほーお待たせ〜！何を読んでるの？』

万「ファンレターだよ。Aも次読んで･･･って千、泣いてるのか？」

『お。珍しい。万、シャッターチャンス！』

万「え？！ああ、いいなそれ。」

私の言葉に万も悪ノリする。
万と一緒になってスマホで写真を撮った。

千「泣いてない！･･･っ、おまえら、最悪。」

千が万をバシッと叩く。
照れたような千が、かわいかった。

ファンレター　２→←三周年ライブ〜万side〜



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ミズ ミズ(プロフ) - 竜胆さん» はじめまして竜胆さん。そんな風に言ってもらえて嬉しいです♪ありがとうございます！ (2019年1月8日 6時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
 竜胆(プロフ) - はじめまして、竜胆と申します。mizさんの作品を読ませていただいてすごく私好みで面白いです！これからも頑張ってください。 (2019年1月7日 18時) (レス) id: 44c2af5b7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名：miz | 作成日時：2019年1月3日 11時

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