ファンに･･･〜万side〜 ページ24
上京後もRe:valeの人気はどんどん上がった。
千や俺を呼ぶファンの声がする。
Aの名前は挙がらない。
大半が女性ファン。少ない男性も付き添いが多いからだ。
Aは自分の容姿が悪いからと口癖のように言って、気にしていないらしい。
でも千と俺は知っている。
Aのファンは声を上げたり名前を呼んだりしない。
エレクトーンを穏やかに聴いて密やかにAを好きなファンがいる。
曲を聴いているんだから、千にとっては本来嬉しいはずなのだが。
千「もやもやする。」
ライブ練習のためにAを待っている時だった。
楽譜から顔をあげると、眉間にしわを寄せている千がいた。
「何だ、急に。」
千「Aのファン、もやもやする。」
「俺たちにだってファンはいるだろ？」
まぁ千が言いたいのは、そういうことじゃないんだろうけど。
千「万は、もやもやしないの？」
「俺は別に。ファンが増えるのは良いことだろ。」
千は納得がいかない風にふーんと言う。
千が思ってるのは多分こうだ。
自分達のファンは音楽を聴かずに上辺だけで、きゃあきゃあ言ってるのに対し、Aのファンは、演奏の邪魔にならないように静かに聴いていて、中身を見ている気がする、という感じだろうか。
音楽を聴いていてくれるのは嬉しいけど、複雑なんだろう。
千が自分で気付いてないだろうが、ヤキモチだ。
あんなに好みじゃないと言っていたのに(今も言ってるが)･･･Aの事を恋愛的に好きなのだ。
この前、遂に千のファンがAを取り囲んで手を出そうとした所を見つけたから注意しようとすると、先に千が烈火のごとく怒った。
あんなに怒った千は初めて見た。
俺は、千がファンとケンカする程Aの事が好きなんだと気づいた。
多分今までの千なら俺に任せて放っておくだろう。
でも、曲が出来ないと女癖が悪くなるのは変わらないので、それは全く理解できない。
前より回数は大分減ったが。
そんな千だからかAが相手にしていないのも感じている。
俺はAに恋愛感情はなく妹みたいなものなので、千と同じ様な感情が湧き上がるはずもない。
(まぁ、こればっかりは千が自分で気づかないとな。)
というか付き合おうと何度も言ってるのになぜ気付かないか謎だ。
ガチャとドアが開く。
おはようと言ったAを見て、イライラしていた千の表情が途端に柔らかくなった。
俺は千の笑顔を見て嬉しくなった。
やっぱり千は、Aが好きなのだ。
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ミズ ミズ(プロフ) - 竜胆さん» はじめまして竜胆さん。そんな風に言ってもらえて嬉しいです♪ありがとうございます！ (2019年1月8日 6時) (
レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - はじめまして、竜胆と申します。mizさんの作品を読ませていただいてすごく私好みで面白いです！これからも頑張ってください。 (2019年1月7日 18時) (レス) id: 44c2af5b7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miz | 作成日時：2019年1月3日 11時
