ユンギのお気に入り (ページ38)

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『指名って…テヒョンさんだったんですか！？』

「うん、そう、俺！」

「案外早かったね～」

『や、だって……』

急ぎの仕事だって聞いて来たんですけど、

「んじゃ、早速行こっか。笑」

……え、ここじゃないの？

『あの、何処に？』

「うん？いい、と、こ、ろ。笑」

『ほ、翻訳は？』

「あー、うん、まーいいから。笑」

いいからって、

意気揚々とするテヒョンさんに連れてこられたのは……

『…あの、テヒョンさん？』

「うん？」

『いいところって、ここですか』

「やだ、Aちゃんってば！なにを想像してたのぉ～？笑」

いや、そうじゃなくて。

めちゃめちゃ近いなって

だって、足もとでは

さっき通り過ぎたばかりの

ネコが中指立ててる…。

「さすがの俺でもこんな明るいうちから女の子を連れ込んだりなんかしないよ～笑」

『……へっ？』

「あっ、やだなもう！ジョークだよ、ジョーク。笑」

「さてと、」

テヒョンさんはなんでそんなにご機嫌なのか

鼻歌交じりにオートロックを解除中。

…………またそうやって、

『いいんですか』

「なにが」

『勝手に開けて』

「いいのいいの」

これじゃ、オートロックの意味が……。

「ユンギヒョ～ン、遊びにきたよ～」

えっ、遊び？

仕事は…？翻訳は…？

"「はぁ～？」"

ここの主である声が聞こえてきて

その声からして

今日もまた不機嫌なのが分かって

入り口の前で立ち止まっていると

「なにしてんの」

『え、だって、』

"「あんだよ、だれ連れてきたんだよ」"

ほら、なんか怒ってるから…

「いいから、早く入んなって」

……や、……えっ、……ちょ、

テヒョンさん引っ張んないで～！