ユンギのお気に入り (ページ35)

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「てなわけで、みんな宜しくね？」

『…よ、宜しく、お願いします！』

……な、なんとか無事に終えた。

部屋中に響き渡るような大きな拍手をしているのは

テヒョンさん、ただ一人。

あとは皆んな、肩を震わせて笑いをこらえてる。

あーあー、普通に挨拶したかったのになぁ…。

だって第一印象って大事でしょ？

それなのに…、もぉ、テヒョンさんってば。

「さて、自己紹介も終わったことだし。…そろそろ、いい？」

『あ、はい…。』

"「じゃあ、」"

"「…帰ろっか」"

イさんのその一言で

騒がしくも賑やかだった初対面もこれで終わりか…って思ったら

なんだか、ちょっと寂しくなった…。

リーダーの、ナムジュンさん

長男の、ソクジンさん

末っ子の、ジョングクさん。

ホソクさんやジミンさんにもそれぞれ個々の挨拶も済んだし

思い残すことは……、

挙げるとするならば……、

ユンギさん、…かな。

昨日のお礼も、と思って

ユンギさんには改めてちゃんと挨拶したかったのに

虫の居所が悪かったのか

昨日とは打って変わって

素っ気なくって

やっぱり昨日のことが原因…？

迷惑掛け過ぎちゃって

面倒臭い奴とか思われちゃったのかな…。

それとも、あれが普通…？

「Aちゃん…？」

『え…？』

「大丈夫？」

『…あ、はい、…大丈夫です』

「なら行くけど、」

『……はい。』

そうだよね、

昨日とは状況が違うもん…。

馴れ馴れしく声を掛けた私がバカだったのかも。

『失礼しました』

部屋を出て、扉を閉めてからも

中から聴こえてきたのは

"「じゃあね～またね～」"

テヒョンさんの、声…。

「みんな良い奴ばっかでしょ？笑」

『…はい、とっても。笑』

たかがバイト一人の為に貴重な時間を割いてくれて

"「宜しくね」" って温かく迎えてくれて

とても幸せな時間だった…。