ユンギのお気に入り (ページ12)

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早くココから立ち去りたい。

一分でも一秒でもいいから早く…。

あの後、イさんを介して挨拶をしたけれど

ユンギさんは " どーも " って頭を軽く下げただけで

会話は…即、終了。

で、今…

イさんとユンギさんは

いつの間にか、…仕事のはなし。

私が入る隙は、………ない。

私はいつまでココに居ればいいんだろう。

早く戻って作業の続きをしなきゃならないのに

完全なる、手持ち無沙汰。

だったら、そっとココを抜け出す？

いや、でも黙って行くのは失礼か…。

答えを導き出せずに

しばらく葛藤し続けていると

携帯の着信音が作業部屋に鳴り響く。

「ヒョンのじゃん？」

「……あ、ほんとだ！」

「……やばっ、……ど、どうしよう。」

着信相手を確認したイさんは

顔を歪ませたままこちらを振り向くから

その相手が誰なのかすぐに分かって

一気に血の気が引いた。

「早く出た方がいいんじゃねーの？」

「う、うん…。」

ユンギさんに促され

イさんはようやくその電話に出る。

「…はい。」

「あ、Aちゃんなら僕と一緒に…。」

「いや、ちょっと頼み事を…」

「はい、…えっ、そんな…、だって、」

聞き耳を立てるけど

どんな内容かは分からなくて

それでもマズい状況だってことは

イさんを見れば、分かる。

イさんは電話口で

"僕が悪いんです " " 彼女は悪くありません "

謝罪の言葉を繰り返してばかりだから…。

きっと相手は

かなり、…怒ってる。

ちょっとのつもりが

気付けば小一時間経ってて

終わったな

そう、思った…。