虚空を斬/る (ページ1)

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︎ ︎ ✧Prologue ページ1

＿＿＿＿我々国。

かの国では魔法を使える血統が9割を占めており、魔法の技術が高いもの、古き良き血統の者が権力を持つ世であった。

無論残りの1割……魔法の使えない者は迫害され、弾圧され、生きていることが罪とされた。彼らは非情な世を嘆きながら檻の中で息絶えていくだけ＿＿＿

のはずだった。

しかし、1人の魔力を持たない青年が立ち上がり国の上層部にクーデターを起こす。
彼の力は魔法を使える者を抑え込める程強く、我々国はたった1週間にして彼の下に降伏した。
魔法の使えなかった者は解放されていき、人々は青年を次の王に推薦。魔法が使える者も使えない者も共存する国を目指し、国民全体が過去の汚点を精算していく。

10年後。国民が魔法を扱えていたのは当時の王が禁術によって城の地下で生み出していたマナを国全体に散布していたのが原因であることが判明。青年はこれを停止させる。
そして彼ら国民が一般的に使えていた魔法は時が過ぎるにつれて衰退していき、国民が魔法に頼らず、自分の手で生活していく習慣が根付いていったのである。

時は流れ、クーデターから100年が経過。
今や人々は魔法のない生活をしている。
不便にはなったものの、危険ながらも経済を回していく政府のおかげで、国は安定している。

魔法の使える者は居なくなり、普通の人間が暮らす世が訪れたのである。

そんな中。
無くなった筈の魔法の力が我々国にまだあるはずだと睨んだ他国が、2ヶ月後、我々国に戦争を仕掛けると宣戦布告。

対抗する為政府は志願した国民を徴兵し、2ヶ月後に向けての訓練を開始した＿＿＿＿

戦争開始まで、あと2ヶ月。