馬と兎と猫と。 ページ12
「左馬刻から水面下だとか、管理とかいう言葉が出てくるとはな…」
「やはり明日は台風…」
「あぁ?お前らいい加減にしとけや、砂にすっぞ。」
左馬刻はポケットから煙草を取り出すと慣れた手つきで火をつけて、紫煙を燻らせる。
「それでなんですが、強盗や空き巣に組織性が見られまして、こっちでも調べることになったんですが、全くと言っていいほど足がつかないのです。目撃情報も当てになりませんし…」
話を聞くAはどこか腑に落ちなくて、この部屋に漂う紫煙よろしくAの胸の内に靄がかかる。その時にヘルメット越しにふと銃兎と目が合った。そのまま眺めていると困惑した表情を浮かべる。それでさえも魅力的に見えるのだから、イケメンとは罪である。
「あ、思い出した。確か…渋谷で起きたこととかで…麻薬取締官とヤクザが手を組んで、没収したヤクを横流しにしたとか。あれデジャブ」
「横流しにはしてませんから」
「んで、それと今回の事と何が関係があるんだよ」
「そうですね、所謂"犯罪の商業化"ってところです。さっきの麻取は元々その組に所属していたそうです。つまりは横流しするために麻取になった。犯罪を起こすことで儲ける、ということです。今回のもそう。強盗犯や空き巣犯はその盗品回収業者のメンバーで、その方達が盗んできたのを持ち主に返す、そして回収費として金を取る。盗めば盗むほど儲かる。嫌なサイクルです。」
「元締めは分かってんのか?」
煙草を根元まで楽しんだ左馬刻はクリアガラスの灰皿に押し付けて火を消す。そしてその鴇色の瞳の目つきは深く、鋭い。狩猟をする獣の眼球のように、必要のない動きを見せない。そんな視線でこちらを見られるとそれが自分に向けられた感情じゃないと分かっていても、ヘルメットでこちらの視線など見えるわけがないと分かっていても本能的に目を逸らす。
____今更だけど、凄い人達と取引してるよな…
「確か、
「それ本当ですか!?」
いきなり問い尋ねてきたので驚きのあまり、思わず体が引く。
「え、ええ…確かだと。」
「その若築士郎がなんかあんのかよ」
「警察庁副総監主要部長、つまり勘解由小路無花果の右腕だ」
「
「どうでしょうか。」
「その辺を含めて調べておきましょうか」
話を締めくくるようにして、Aは立ち上がり会釈してドアノブを握り、その場をあとにする。
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雪@そらなー - 鵠さん» 作ったよ〜!裏切り+愛=呪いで検索かけたら出ると思う! (2018年12月12日 20時) (レス) id: a70a7db5f1 (このIDを非表示/違反報告)
鵠(プロフ) - 相澤雪さん» ありがとう!もし作ったら教えてね (2018年12月7日 22時) (レス) id: c75e48906d (このIDを非表示/違反報告)
相澤雪 - めちゃめちゃ参考になった!更新頑張って!! (2018年12月7日 15時) (レス) id: a70a7db5f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鵠 | 作成日時:2018年12月3日 22時