約束。2【及川徹】 (ページ10)

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針、60本。ページ10

…9月になったのに何だこの暑さは。
練習の中でもたくさん休憩をとってこまめに体調を確認。

何回も何回もドリンクを作り直しに水道と体育館を往復した。

「ドリンク追加したよー、お待たせ」

「ありがと…って、そういえばなんで今日は行かないの？」

いつも部活が始まる前に抜けると報告している分、及川が不思議そうに聞いてきた。今日は、京谷のところには行かない。

「今日はいいの」

「？ふーん…？」

夏休み中、ずっと通った町民体育館。毎日京谷と顔を合わせて、プレーを見て…。

変わらず睨まれてたけど、暴言は吐かれなくなった。大きな進歩。

「そろそろ頃合だから」

「頃合？」

「うん。多分今日、」

背にしていたドアが、ガラッと乱暴に開けられた。重たいのにこんなに軽々開ける人物は限られる。
ハミチキに食らいつきながら、目付きを鋭くする京谷。

それにいち早く反応したのは矢巾だった。

「オイ！久々に来たんならマトモに挨拶くらいしろよ！」

「まあまあまあ、矢巾落ち着いて」

「！及川さん」

「オカエリ、狂犬ちゃん」

…ほら、やっぱり。

予想通りの反応と行動に少し笑みが溢れてしまった。ここまで馬鹿正直になるとは思ってなかったから。

とにかく、京谷を引っ張り出してくる、という私の仕事はひと段落だ。