約束。2【及川徹】 (ページ45)

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針、95本。ページ45

「痛た…」

「どうした」

「…ちょっとね」

強化合宿2日目、開始。白鳥沢の3年生がうじゃうじゃ来て、さっそくゲームが始まった。

セット間の休憩、牛島とゲスブロッカーが得点板をめくる私の隣へ。

派手に転んだ私の失態は先生方に伝え、許可を得た上でパイプ椅子と一緒に行動している。恥ずかしい。

痛む腰を擦りながら、1点めくる。

「あ〜わかった、滑って転んじゃったんでしょ！」

「…前から思ってたけど天童ってとってもゲスいね！」

「貶したよね、今」

お互い顔は知っていたけど話すのは今日が初めての天童。コミュ力が高いのか、よく読めない性格なのになんかスラスラ話せる。なんでだ。

天童がオレンジくんに絡んで、少し緊張した空気に変わる。
牛島がトドメを指した。

「…それで、お前は何をやっている？」

息を飲んだオレンジくんの背中を見送って、汗を拭く牛島に視線を移す。

「牛島はあの子、どう思う？」

「…それよりAはどうなんだ。勉強になっているのか」

「はぐらかすなよ…。正直、呼んでもらえてよかった。ありがとう」

当たり前だけど、いつも見なれている部員の分析とは全然違う。
プレースタイルも癖も違う選手を見て、気付かされることも沢山あった。

録画じゃない分、普段より集中して見るようになったのも成長のひとつだと思う。

「そうか。ならよかった」

ふ、と笑った牛島を見て、ギョッとした天童。
そのまま絡みに行って次のセットが始まってしまった。

せっかく白鳥沢の3年も生で見るチャンスなんだ。
活かさない手はない。