約束。2【及川徹】 (ページ35)

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針、85本。ページ35

はっきりしない、モヤモヤとした生温い日々は確実に過ぎていった。

そんな空気の中で受験を終えた私と岩泉。ぶっちゃけ何も清々してない。
おそらく合格はするだろうが日常生活におけるモヤモヤが多すぎる。

ぬるま湯に浸かっているような、刺激のない毎日。

…は、突然終わりを告げた。

「失礼しまー…あれ？」

「えっ、Aさん？」

相談室の扉を開ける。放課後コーチから呼び出された部屋はここだったはず。

なのに先客がいた。パイプ椅子に腰かける金田一と国見。

「…ごめん、私部屋間違えたかも」

「いや合ってるよ。お前ら3人を呼んだんだから」

慌てて部屋から出ようとしたら、私の真後ろにはコーチが。びっくりした…。

座れと促されて、金田一の隣のパイプ椅子に座る。対面でコーチが座った。

…何、このメンバー。共通点って言ったら部活くらいだけど…。

「まー前置きとかする必要ねぇから単刀直入に言うな。お前らは宮城県1年生選抜強化合宿に参加してもらう」

「選抜強化合宿…ってなんですか？」

「有能な1年生を呼んで、県全体のバレーボールのレベルアップを目的にしてるらしい。強制だから拒否権ねぇぞ、国見」

「…………はい」

1年生2人とコーチの話を黙って聞く。ふんふん、つまるところ宮城県擬似ユース的な感じなのね？

「ってコーチ、なんでその話するのに私もここに呼ばれたんですか？」

「あーそれはな…」

ゴホン、とわざとらしく咳払いで一拍置かれた。妙に緊張するからやめて欲しい。

「理由ははっきり言われてないんだが、鷲匠先生と牛島くんの意向で是非とも来て欲しいとの話があったんだよ」

「……………はい？」