針、68本。 ページ18
「打ち辛ぇって言ってんだろ。いつも通りでいいんだっつの」
「ウィッス…」
「…バカ及川」
その翌日から、対伊達工戦を意識した練習を強化し始めた。ブロック板で視界を塞ぐ。
我慢できなかった及川がネットからトスを離して岩泉に怒られた。
そりゃ怒るって…。
思わずため息と一緒にバカって言っちゃったよ…。
「及川さぁ、岩泉が伊達工の3枚壁に勝てないと思ってるの?」
「そういうわけじゃないよ。だけどブロックに捕まらないならそれが一番じゃ、」
「いつも自分で言ってるじゃん。スパイカーが望んだトスを上げるんでしょ?」
言い返せなくて口を噤んだ及川。またトスを上げ始めた。選手によって要望が違う。ネットから遠めで、近めで、高めで、低めで。それぞれの選手にカスタマイズしたトス。
及川に相当な圧がかかるのは分かってる。だけど呑まれちゃいけない。
「金田一、及川相手でも打ちづらいならそう言いな」
「は、はい…」
モジモジした金田一にそう声をかけた。たぶん実際に意見したところで及川は変えないだろうけど。
コミュニケーションを取るのは大事だし、金田一も理由聞いたらすぐ納得するだろう。
「コラ国見サボんじゃねぇ!」
「…はい」
国見は国見でコーチに怒鳴られてる。あー、もうちょい上手くサボればいいのに。
1年生は伸びしろがあって育て甲斐しかない。
金田一も国見も、そして途中から部活に戻った京谷にも、本当の強みはもっとある。
…だけど、伊達工戦では京谷は出さない方針らしい。
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作者名:観月 | 作成日時:2021年1月8日 22時