約束。2【及川徹】 (ページ13)

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針、63本。ページ13

「初日から荒れまくってたな」

「初日だからこそじゃない？」

久々の、3人での帰宅。町民体育館に寄ってた頃はそのまま家に帰ったからものすごく懐かしい気持ちに苛まれてる。

頭の上を飛び交う2人の会話を聞くのも久しぶりだ…。話題は専ら京谷のこと。

「…まあ、大丈夫だよ」

「やけに冷静じゃねぇか」

「岩泉だって薄々わかってるくせに」

岩泉だけじゃない。今日がほぼ初対面だった1年生ですら、実力だけで言えば全員が察していた。
性格に難がありすぎるだけの話。逆に言えばそこさえ何とかできれば。

「っつっても一日二日でどうにかなるもんじゃないだろ」

「私でも口調柔らかくなるまで1ヶ月かかったからね…」

大変だった…。足繁く通い詰めて1ヶ月でようやくフラットに。睨まれなくなるまでにもう1ヶ月かかりそう。

「狂犬ちゃんがAと話す時、岩ちゃんと話してるみたいだったけどなー」

「え？」

どうしたものか、考えを巡らせはじめた矢先に零された及川の独り言。

「なんで？」

「さぁ。でもそんな感じだったもん」

待ってよ。京谷が岩泉に反抗しづらいのは勝負吹っ掛けても勝てなかったからでしょ？

勝負した覚えもなければそもそも競う前から私の負けはわかってるのに？

「…私そんなにゴリラに見える？」

「うん見え…、ない。全然見えない。めっちゃ子犬みたいで目がクリンってしてて超可愛い」

「うんって言ったの聞こえてるから！！」

「ごめんなさい！！」

「にしてもホントなんでだろうな？」

「うーん…？」

確かに言われてみれば、部活に来なくなる前からも他の人に比べたら噛み付かれてないような、気が。