針、61本。 ページ11
インハイで負けたから引退したと思ってた、なんて喧嘩ふっかけてきたから腕まくりする岩泉を慌てて抑えた。危ない。
「ああっ! 及川さんが居る代に同じチームでプレーできて良かった!」
「?」
「__って思えるようにしてあげるね」
…正直、この時の及川は京谷じゃなくても怖かったと思う。
2年生の間ではギクシャクした空気が、1年生の間では戸惑いが、そして、私と及川を除く3年生は腫れ物を扱うみたいにして、中断されていた部活が再開した。
「A、ほんとに狂犬ちゃんを手懐けたちゃったんだね」
「まさか。私は京谷の性格を利用しただけ」
「…一体どんなオヤツぶら下げたの」
「引かないでよ。荒っぽいことはしてないって」
コソッと耳打ちしてきた及川。そりゃまあ任せてなんて言った手前途中で諦めるなんて問題外だ。
私が京谷の前に出したオヤツ。
と言ってもそんな大層なものじゃない。
この約1ヶ月、京谷のプレーには称賛と助言を送ってきた。あの子にとってそれを貰えるのは他の人と基準が少し違う、そう思ったから。
だからこそ。
「急に私が来ないって知ったら、褒められない、アドバイスも貰えないってわかったら。…さて、京谷はどうするでしょう?」
「……さすがすぎて怖い」
「褒め言葉として受け取っとくね。それに」
この部活に参加していなかった期間。
京谷にブランクなんかない。
「ひたむきにバレーに向き合う姿勢は、みんなと変わらない」
「…そうだね」
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作者名:観月 | 作成日時:2021年1月8日 22時