#３ ページ4
椿side
「……また信介くんの隣や」
「はは、よろしゅう」
そして今。3年生へと進級した私の隣には信介くんが居た。何を隠そう私と信介くんは1年、2年と一緒のクラス。これで3年目の縁。
席替えでの隣はこれで何度目なんだろうか。
彼にしてはお茶目な笑顔で頭を下げられた。倣って私も会釈する。
制服の袖が長かった1年生。彼の印象は“怖くて苦手な人”だった。同じクラス、席替えの度に高確率で隣の席、バレーボール部としての活動……、多い接点にうんざりしたこともある。
思いきりスカートを短くした2年生。彼の印象は“不思議な人”に変わった。表情は相も変わらず硬いのに、どこか憎めない。頭も良くて優しい。
互いが主将になってからさらに接点も増え、今は。
「でも、信介くんが隣に居ると、安心するわ」
“気の置けない友人”。
そして、私にとっては“憧れの人”でもある。
“「反復・継続・丁寧」は心地いい”と言う彼を、心の底から尊敬する。私自身、それが苦手だからだ。
彼は彼で、自分にないものをたくさん持っているからと敬意のこもった眼差しを向けてくる。
……私には、“ミスター隙なし”の彼に何が足りないのか検討もつかないが。
新しい担任の話を、私の耳は右から左へ流していく。夏の陽射しが心地好い。睡魔は簡単に頭の中を支配した。
「……寝たらアカンよ」
「う……」
さり気ない耳打ちが、私の意識を覚醒させた。
信介くんは他人のことをよく視ている。私が尊敬していることのひとつ。
しかし私は首を反らして外を向いた。小さなため息が聞こえる。
窓から見える新緑が目に眩しい。
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観月(プロフ) - 倫太郎さん» ありがとうございます…！そう言っていただけると本当に嬉しいです！！頑張ります！ (2020年12月8日 17時) (
レス) id: d67a3f96a5 (このIDを非表示/違反報告)
倫太郎(プロフ) - コメ失礼します！いつも観月さんの作品、楽しく見させて貰ってます！これからも頑張って下さい！ (2020年12月8日 10時) (レス) id: e7965c6e0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：観月
| 作成日時：2020年11月27日 22時
