#２３ ページ24
北side
金属製のドアの引き手を睨みつけた。
ヤツはいつ襲ってくるか分からない。自分の手と交互に見つめ、ため息をつく。
夏休みが終わればすぐに秋の報せが届く。
乾燥が目立つ季節。乃ち俺の嫌いなものが力をつけてくる季節。
そんな俺の背後から、Aさんの不思議そうな声がかかった。
「信介くん、なにしとんの？」
「……いや、ちょっとな」
「部活行かんの？」
「……行くけど」
「ならドア開けんと」
純粋無垢な瞳が俺に訴えかけてきた。彼女の正論パンチに心が痛む。だけど手が躊躇っていた。
いっそのこと彼女を先に行かせるか……、いや、いくらなんでも不自然だろう。
覚悟を決めて、そっと指先を近付けた___。
「うっ」
途端、指先に鈍い痛みが走る。この世で一番嫌いな感触に顔を顰めた。
少しだけ驚いた表情を見せたAさんが、すぐに面白そうなものを見つけた、とでも言うような顔になる。
いつもは眩しい笑顔が少し憎らしい。
「静電気苦手なんやね……？」
悪戯っ子のような悪い笑みを浮かべて俺の顔を覗き込んでくる。
やるせないし恥ずかしい気持ちに襲われた俺はいたたまれなくなって教室を出た。慌てて追いかけてくるAさん。
「ちょっ、ごめんって！
そりゃ誰やって苦手なもんくらいあるもんな？！」
パタパタと足音を響かせながら隣に並んだ。
いろいろと言葉を並べているがあまり意味は成していない。
いたたまれなかっただけであって、怒ってはいなかったのだが彼女の瞳にはそう見えたらしい。「……ごめんなさい」と小さな声で謝られた。「怒っとらんよ」ボソッと囁くと途端に表情が明るくなった。
「信介くんの弱点は静電気なんやな!」
……心がかなり痛むのではっきり言うのはやめて欲しい。
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観月(プロフ) - 倫太郎さん» ありがとうございます…！そう言っていただけると本当に嬉しいです！！頑張ります！ (2020年12月8日 17時) (
レス) id: d67a3f96a5 (このIDを非表示/違反報告)
倫太郎(プロフ) - コメ失礼します！いつも観月さんの作品、楽しく見させて貰ってます！これからも頑張って下さい！ (2020年12月8日 10時) (レス) id: e7965c6e0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：観月
| 作成日時：2020年11月27日 22時
