#２２ ページ23
北side
「レフト！
レフトくれや！」
足首にサポーターをしながら、大きな声でトスを呼ぶ。治ったばかりだと言うのに、あんなに燥いで大丈夫なのだろうか。俺個人としてはあの姿を見られるのは嬉しいが、また怪我をしたら堪ったもんじゃない。
夏休みも終盤を迎えつつ、次に控えた春高予選に向けて男子も女子も熱が高まっていた。
相変わらず笑顔でボールを打ち切る姿は、見てるこちらにも爽快感を与えてくれる。
彼女は、自分がコートにいなくても、アップエリアから背中を支えられるようになりたい、そう言ったけれど。
俺は、Aさんはコートの中に居るべき人間だと思う。ちゃんと、チームの精神的な支えになってるし、挫けることの無いムードメーカーだ。いつだって好戦的で、そこは少し侑に似たところがあるかもしれない。
壁に掛かっている時計を見て、俺は部員に指示を出す。
「よし、今日はもう片付けよか」
――*――*――*――*――
「信介くん、一緒に帰らん？」
柑橘系の制汗剤の匂い。彼女によく似合っている。俺が頷くと笑って隣に並んだ。
もう陽は沈みかけているのに、空気がじっとりとまとわりついてきた。夕陽に照らされたAさんの横顔が綺麗に映える。
「足、もう平気なん？」
テーピングとサポーターで厳重に保護されている足首。まだ休んだ方がいいんじゃないか、その意味も込めて聞いた。
「大丈夫！
これくらいでへばってられんやろ！」
彼女は笑顔で否定した。バレーにひたむきに頑張る姿は好きだ。しかし無理をして欲しくないのも事実。
だけど俺は知っている。
Aさんは止まらない。
少しだけ涼しい風が2人の間を通った。
秋に向かって誘うように。
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観月(プロフ) - 倫太郎さん» ありがとうございます…！そう言っていただけると本当に嬉しいです！！頑張ります！ (2020年12月8日 17時) (
レス) id: d67a3f96a5 (このIDを非表示/違反報告)
倫太郎(プロフ) - コメ失礼します！いつも観月さんの作品、楽しく見させて貰ってます！これからも頑張って下さい！ (2020年12月8日 10時) (レス) id: e7965c6e0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：観月
| 作成日時：2020年11月27日 22時
