音駒にマネが居ない理由。

居るよ。 ページ11

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この道を歩くのは、もう一年ぶりになる

桜散るこの季節は私にとってはあまりいいものではない


久々に見る体育館のドア

そっと耳を近づけると、猫又監督が話す声

その声が止まった瞬間を見計らって

私はゆっくり、ドアを開けた


黒「…は、」


目に入った懐かしい面々と、新入部員に目頭が熱くなる


『ただいま、みんな』


半年かけてリハビリした足はしっかりと地面を蹴って、


黒「A、？」


真っ直ぐ鉄朗のもとへ向かっていく

不思議そうな顔をするのは1年生かな？


『今、猫又監督が話してくださった、若槻Aです』


よろしくね、なんて言う前に、


黒「A！」


私は鉄朗の腕に捕まっていて


灰「え、え、なんっ…？」


幽霊を見るような顔で…ってもしかして私、死んだみたいな話し方されてた？？


『鉄朗、苦しいよ』


大きな背中を撫でると、痛いくらい抱きしめられて
鉄朗は声も出せないみたい


夜「面会謝絶なんじゃ、」

『半年前には意識は戻ったの、リハビリが終わるまでは会いたくないって我儘聞いてもらってて…、ごめんね』


2年と3年の目にうるうると涙が溜まっていく


孤「…A、さん」

『研磨金髪にしたんだね、似合ってる！』


鉄朗に痛いくらい抱きしめられたまま、私はみんなと挨拶を交わす

1年生はリエーフに犬岡、芝山って言うのね


黒「…A」

『うん？』



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