１２. 借り物競走 ページ12
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《よーい…》
___ﾊﾟｧﾝｯ!!
《さあ始まりました借り物競走！ 借りる物は物だけではなく今回は人も借りることが出来ます！ 勝負の命運は引くカードによって決まります…！！ 一番手でカードを引いたのは２組宮侑ー！！》
『侑ー！ 何書かれとったんー？！』
スタートダッシュを決めた侑がカードを引いた
何が書かれているかなんてここからは到底見えないけど、少し困ったような顔をした気がして思わず声をかけてしまう
意を決した顔でまっすぐ２組に走ってきた侑は、女子席を見回して
もしかして借りられるの私かも？！
なんて黄色い声がざわっと上がる
侑「A！ 借りるわ！」
『私？！』
侑「ええからはよ来い！！」
『えええ？！』
手を取られるままゴールに向かってただ走る
私の足に合わせて走ってくれている侑の手に握られたカードが気になってしまう
なんで私？！
なんて書かれてあったん？！
《２組宮侑速い！！ さて、ゴール前ではお題との照らし合わせに移ります。他クラスが四苦八苦している中１位になれるのか！》
「カードのお題はー…っと…」
握りしめられていたカードを審査員の生徒に渡すと
「…はいっ、ではゴールですね！！」
『えぇっ？！』
《なんと２組宮侑、脅威の速さでゴール！！》
訳も分からないまま１位でゴールしてしまった…
『ちょっと侑っ、あのお題なんやったん？！』
侑「言うかボケっ、」
『なんでっ？！ 教えてやっ』
侑「言わんっての！！！」
『痛っ？！』
デコピンはないやろ…！！
応援席に戻ると治と倫太郎、結が侑を取り囲んでにやにやしながら何か話している…
…仲間外れかーい…
ふんっ、いいもん別に…悲しくなんてないもん…
治「―――？」
角「―――！ ―――、」
銀「！ ―――！」
侑「っるさいわ！！ もぉほんま黙れ！！！」
侑の大きい声だけが、私の耳に届く
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作者名：観月
| 作成日時：2020年10月28日 6時
