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「さっき、大丈夫だった?」


若に掴まれて赤くなっている腕を見て心配そうに聞いてきた
こんなの痛くも痒くもない

今痛いのは心だ


"Aが欲しい"

"俺のセッターだ"


この言葉の意味が繋がった


及川さんと2人で、近くの公園に来た
ベンチに座らされたかと思ったら、隣の自販機でりんごジュースを買ってくれた
素直に受け取ると及川さんが隣に座る


「飲みな? 疲れてる時には甘いものでしょ」

「…ありがとう、ございます」


りんごジュースを一口飲むと、甘みと酸味が咥内を占領する
及川さんも買ったコーヒーに口をつけた
私が話し始めるまで、逃してくれる気がないらしい


「…及川さん」

「んー?」

「及川さんは、どうしてセッターになったんですか?」

「え?」


予想外の質問だったからか、目を丸くして私を見た


「どうしてって…、だってセッターってかっこいいじゃん?」


少し考えてから、なんの躊躇いもなくそう言う
こうやって言いきれるところが、私とは違う


「じゃあ、スパイカーの魅力ってなんだと思いますか?」

「やっぱり攻撃の華形ってことだよね、セッターからの信頼も絶大だし」


攻撃の華形
まさに私が憧れて、求めていたもの



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作者名:観月 | 作成日時:2020年9月27日 21時

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