牛島若利の妹 "でした" 。１【及川徹】

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「ただいまー」


……

返事はない

もしかしたら帰ってきているんじゃないか
そんな淡い希望はいとも簡単に打ち砕かれる

わかっているけど、毎日この瞬間は苦手だ

静まり返った暗い部屋を、無理やり明るくするように電気をつけた

寂しさを紛らわすようにテレビを付ける


「さっ、今日は肉じゃがっ肉じゃが〜♪」


テレビから流れるうろ覚えの音楽にのせて歌う
エプロンをつけ、冷蔵庫から材料を取り出す

特に面白くもないテレビの音と

材料を切る一定のリズム

時折音を外す私の鼻歌が虚しく響いた


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「いただきまーす」


肉じゃがの作り方を習得してからまだ日は浅いのに、我ながら上手いこと味付けできている

ほんのり甘い肉じゃがは、私の舌には馴染まない


「ご飯食べたら、洗濯物まとめて、課題やって、お風呂入って…」


頭の中で考えればいいことも、口に出して音にする
相変わらず面白くないテレビは、いつの間にか音楽番組からバラエティ番組へと変わっていた



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