･ 38話 ページ38
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ああ。やだな。この後の撮影。
この後はラブシーン中のラブシーン。海辺で水の掛け合いっこをした後、ギョンスさんが演じる主人公が私演じるヒロインを見て
｢……綺麗だ｣
なんていって、それから、その……。
"抱きしめる"のだ。
こう……後ろからぎゅって。
役だって、今必死になって自分に言い聞かせている。こんなことギョンスさんもしたくないはずだから、早く終わらせよう。
１発で、終わらせるために頑張らなきゃ。ラブシーンは難しいから……こうやって集中しないと。
｢Aさん｣
『……』
｢Aさーん｣
『……っ、なんですか』
聞こえないふり、出来ると思ったのに！！
私を呼んだのは他でもないギョンスさんだった。ギョンスさんは私の座っているイスの隣に自分のイスを持ってくる。
……やめてよ。こう見えても、今頑張ってるんだから。
｢何してるんですか｣
『精神統一です』
｢ふっ、変なの｣
『笑われてもいいです。これ結構、効きますから……』
そう言って私はまた目をつぶった。
案外、普通に会話が出来ている。それはきっとギョンスさんがこうして喋りかけてくれたから。
まぁ、本人は私の気持ちなんて少しも分かってないから、こうやって話に来れるんだろうけどね。
｢そんなに、緊張する？｣
『……はい』
｢ラブシーンが？｣
『……初めてなんで』
それに、初めてがギョンスさんなんて、うん。
幸せと言うべきか不幸せと言うべきか。
｢抱きしめるのは僕なのに。Aさんの方が緊張してますね｣
ギョンスさんはそう言ってまたそほ大きな目で私を見る。そういうギョンスさんは全く緊張してなさそう。……慣れてるのか。
流石だよ、ギョンスさん。
『ギョンスさんは緊張してないですね』
私は平然としてるギョンスさんに向かって嫌味を込めて言う。
するとギョンスさんはいつも以上に目を見開いて言った。
｢僕、緊張してますよ｣
『そうは見えないけど……』
｢元々顔には出ない方なんですよ｣
『本当ですかね〜？』
｢疑うとは。一応先輩だけど｣
『あっ、そういう時だけ先輩って言葉使うのズル！』
なんだろう。さっきまでの複雑な気持ちは笑い声と一緒に吹き飛んでいった。
ありがとう、ギョンスさん。私を安心させるために笑わせてくれて。そういうの苦手だって知ってるよ。
監督 ｢はじまるよー｣
『はーい』
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巫づき。(プロフ) - トモさん» 2を見てもらえば分かる通り、訂正済みです。 (2017年6月11日 19時) (
レス) id: e0acf4d077 (このIDを非表示/違反報告)
トモ(プロフ) - 不躾で恐縮ですが、DDとは｢誰でも大好き｣の意味ではないでしょうか…？ (2017年6月11日 17時) (レス) id: 86b404f4e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：巫づき。 | 作成日時：2017年4月15日 19時
