リナリア【2】 (ページ8)

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強制的に頭に浮かんでくるのは、昔から変わらないまあるい瞳を持つ童顔な幼馴染の姿。

『手伝うよ、Aの片想い』

『…あ、カッコいいってこと？』

『ちょっとワケアリで』

ここ最近の彼の言動がパノラマのように回顧されていく。
どれも調子づいた、けれども見知っているいつもの大貴だ。

あれが、わたしを。

「……いやいや。ないない、！あり得ないから」

一瞬、想像して思いっきり首をぶんぶんと横に振る。

なんてことを考えてしまったんだ。
あの幼馴染がわたしに甘い言葉をかけたりとか、愛おしいって目で見たりとか…そのほかのシチュエーションエトセトラ、、

…絶対に、ない。あり得ない。
ほんの少しでも想像してしまって大貴にも申し訳なさが募る。

ごめんね、大貴。
西高がある方面に届くはずもない謝罪の念を飛ばしておく。

『そんな否定するんだ。うーん、幼馴染なんてよくある展開だと思ったんだけど、』

「…少女漫画ではね。リアルでは案外ないもんだよ」

「まじかぁ…幼馴染との恋愛とか女子の憧れじゃんか」

残念そうな表情の萩花。

異性の幼馴染がいるだけで、やっぱりこういう風に誤解されやすい。
昔から慣れていると言えばそうだけど。

ただ、家が隣同士で。ただ、幼い頃から一緒にいて。
いつの間にかそれが当たり前になってしまっただけ。

それに特別な感情なんてなにもない。
わたしも。もちろん大貴もそうだろう。

あったらあんな普通に接せられないでしょ。

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