57 ページ7
·
萩花はさっきああ言ったけど。
誰かに好意を寄せられた経験なんてまったくと言っていいほどない。
付き合ったことは当たり前にないし、告白されたことすらないんだ。
普通はあるものなのかな、…てか今の女子高生の普通ってなに？
もしかしてわたしは普通じゃない？いやいや、それはさすがに。
思考の渦に落ちていく。
確かに、好きな相手がいるとその人一心になる節はある。
中学の頃も、まわりに”隣のクラスの〇〇がAのこと気になるって言ってたよ”なんて噂話を聞いても、”またまた、でっちあげでしょ”としか思わなくて意識もしていなかった。
鈍いのかな、恋愛に関して。そんな風に感じたことないけど。
でも。もしかしたら、わたしのことをいいなって思ってくれていた人が近くにいたのかもしれないし。
………いや、わたしのことを？そんな人いる？
考えてみたけど、すぐに疑念が浮かんでくる。
わたしを好きな人なんて本当に大した物好きじゃないと、
『…あ。ウワサの幼馴染くんは？』
「え？」
突然飛び込んできた言葉に、物思いにふけていた意識が浮上していく。
目の前にはさっきの紙パックのジュースを飲み終わったのか、綺麗に折りたたんでいる萩花の姿。
「幼馴染？」
『言ってたじゃん。前、隣の家に住んでる幼馴染がいるって』
「……ああ、」
大貴のことか。
そういえば、関係が戻ったたときに少し話したんだっけ。
詳しいことは言ってないけど。
それで、あいつがなに？
「いるけど、それが…なに？」
『Aのこと好きとかないの？』
「………はい？」
さらっと、とんでも爆弾発言。
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やぎ | 作成日時：2024年3月7日 15時
